【BUBKA9月号】コロナ禍の巨人軍に愛をこめて 中溝康隆×伊賀大介

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開幕延期となり、ようやく歴史上最も遅い球春到来を告げたプロ野球。しかし、世の中的にはそれどころじゃない空気もあり、いまいち熱狂が伝わってこないというのが、ライトな野球ファンの本音だろう。だからこそ、清々しいほどのベースボールフリークであり、永遠のG党である二人の話を今、聞きたい。溜めに溜めたオレンジ色の思いを誌上にぶつける、劇空間対談スタート!

5000人の球場にて

中溝 ほっともっとフィールド神戸きれいでしたね!

伊賀 ヤバかった! 天然芝最高!

――お二人は有観客開幕明けすぐの巨人戦を観に行ってきたんですよね。入場者上限5000人と制限された中での観戦はどんな雰囲気でしたか?

伊賀 人数少ない上に鳴り物での応援が禁止なんで、野次はめちゃくちゃ聞こえましたね。場所が神戸で巨人とヤクルトでこれなら、甲子園での伝統の一戦なんかすごいことになると思いますよ。

中溝 実際、オリックスの京セラドームは昭和パ・リーグの関西ノリが出ちゃって。

伊賀 一回、試合が止まっちゃったんですよね。

中溝 そうそう。「宮西(尚生)、打たれろ〜」みたいなウケを狙った野次が、わりと緊迫感のある場面で飛んで。まあ、音がクリアに動画に残っちゃうから野次は印象良くないですよ。でも、聞こえるのは野次だけじゃなくて、それこそ選手の声とかもよく聞こえてくるんですよ。3つ隣に座っていたおっさんの屁の音が普通に聞こえたのは、さすがにビビりました(笑)。

伊賀 ファウルボールが飛んだ時の女性の「キャー!」って悲鳴なんかも、よく聞こえましたよね。選手で言えば、青木(宣親)なんてめちゃくちゃ声出してましたよ。レフトの守備位置から戻ってくるたびに、よく粘って投げている小川(泰弘)に声をかけて。

中溝 若い村上(宗隆)にも声かけたりして、チームリーダー感ありました。意外と坂本(勇人)に足りないところは、そこじゃねぇかっていうのに気付かされましたよね。根がクールなんでしょうけど、あれぐらいベタに鼓舞してもいいと思うんですよ。

伊賀 俺はもともと観戦中に応援歌を歌ったりしないタイプだし、これはこれで全然アリだなって思いましたね。

中溝 俺も観戦スタイルが内野席でじっくり派なんで、支障ないどころか左右に人がいないことも含めて、見やすかったですね。でも、そこは逆に問題点もあって、たとえカップルでも隣の席に座れないんですよ。係員も徹底していて、チケットの席番号無視して座ってたカップルに即注意してました。このあたりをどこまで徹底させるかは難しいですよね。初心者の女の子やキッズが一人で野球観れんの?って、思いますし。

伊賀 席の問題なんかはまだかわいいもんで、中日のビシエドがサヨナラホームランを打った時に、思わずチームメイトが興奮してソーシャルディスタンスを無視して喜んじゃったりしてて、ほのぼのニュースになっていたけど、プロ野球関係ない人からしたら、ツッコミどころありまくりみたいな。

中溝 選手もファンも叩かれる要素は揃ってますよね。


ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBUKA9月号にて!


いが・だいすけ
1977年、東京都生まれ。22歳でスタイリストとしての活動を開始。『MEN’S NON-NO』や『smart』といったファッション誌、映画『モテキ』『バクマン。』などのヒット作、東京事変や銀杏BOYZらミュージシャンとの仕事のほか、広告・舞台と幅広い分野で活躍中。また、音楽や映画、印刷物にも造詣が深いことでも知られる。WEB連載『文春野球コラム ペナントレース2020』の巨人担当として毎週記事をUPしている。

なかみぞ・やすたか
(プロ野球死亡遊戯)1979年、埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)など著書多数。『令和の巨人軍』(新潮新書)が好評発売中!