【BUBKA12月号】伊賀大介(スタイリスト)×中溝康隆(プロ野球死亡遊戯) 「いつでも俺たちは澤村拓一が好きでした。」
成績不振、怪我、スキャンダル、若手の台頭……かつて「伝説の投手、沢村栄治を超えてほしい」とまで言われた男の輝きは色褪せ、居場所を失い、3軍で大学生相手に登板するような辛酸を舐めていた。この秋、そんな背番号15に突如訪れた千葉ロッテマリーンズへの電撃移籍。澤村拓一は新天地で持ち味の剛速球を武器に不死鳥のごとく蘇った。14試合に登板し防御率1.32、8ホールド、奪三振率は驚異の12.51(10月19日現在)。今まさに第二の全盛期を迎えている「筋肉」について、本誌おなじみのジャイアンツファンコンビが語り合う。
本人から怒りのリプ
伊賀 今日のテーマは澤村拓一オンリーっすよね?
中溝 一本丸ごと筋肉って、なかなか狂気の企画ですよ(笑)。選手について語るのは、BUBKAで最初に二人で座談会をした村田さん(村田修一)以来ですね。
――そうなりますね。今年は開幕予定だった3月、コロナで延期し実際に開幕した直後の7月と、もうすでに2回お二人に集まって頂いて、次はジャイアンツ優勝決定後のタイミングかななんて漠然と考えながらペナントレースを眺めていたんですが、突然やってきた澤村のトレード移籍、そしてその後のロッテでの活躍を見ていたら、ジャイアンツが優勝する前にどうしてもお二人の話が聞きたくなって、急遽集まってもらいました。
中溝 澤村との思い出は多いですよ。というのも、澤村の入団がちょうど俺がプロ野球死亡遊戯ブログを始めた年で。最初からずっと見てきた選手なので。そして、村田さんもそうですが、澤村も「あいつには何を言ってもいい枠」みたいな選手だったし、俺らの大好きな「80年代パ・リーグの匂いがする枠」でもあったので、いろいろな原稿を書いてきました。それこそ「近鉄バファローズのユニフォームが似合いそう」とか(笑)。
伊賀 澤村ってなんか外国人助っ人を見ている感じに近かったすよね。
中溝 イースラー、澤村って並び(笑)。実際ファンも村田さん同様99%男で、昨今の小林誠司が香水を発売したり、石川慎吾のギャル人気の感じとは真逆なんですよ。そういう男臭い選手って今は意外と少なくて。
――とは言え、ドラフト1位で鳴り物入りで入っていきなり新人王を獲得した選手じゃないですか。どう考えても、球界のスーパースター候補なわけで。そんな選手なのに、ずっといじられ続けているイメージがあるのは不思議ですよね。
中溝 1年目から200イニング投げてる。
伊賀 でも、11勝11敗なんですよね。そこで勝ち越せないところに、9勝6敗の大関感が出ちゃってるんすよ。同じ大卒のドラ1で言えば、上原(浩治)なんていきなり20勝して、スコーンとスターダムに上がっていったじゃないですか。澤村は「タフだなこいつ。イニング食えるぞ」的な、働き盛りの外国人みたいな活躍だったんですよね。
――拭いきれない助っ人外国人感がルーキーイヤーからあったわけですね(笑)。
中溝 菅野(智之)も1年目に13勝で日本シリーズでマー君(田中将大)に投げ勝ったりとか、マエケン(前田健太)に投げ勝ったりとか、上原と一緒で「あ、エースになるな」っていうものがありましたよね。
伊賀 やっぱり華がある。
――続きは絶賛発売中のBUBKA12月号にて!
いが・だいすけ
1977年、東京都生まれ。22歳でスタイリストとしての活動を開始。映画『ジョゼと虎と魚たち』『モテキ』『バクマン。』『ハード・コア』『おおかみこどもの雨と雪』『宮本から君へ』などの作品を始め、演劇、広告、ミュージシャンなど幅広く活動中。また、音楽や映画、印刷物にも造詣が深いことでも知られる。WEB連載『文春野球コラム ペナントレース2020』の巨人担当として毎週記事をUPしている。
なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)
1979年、埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)など著書多数。『令和の巨人軍』(新潮新書)が好評発売中!
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