【BUBKA12月号】エンターテインメントの行方 #03 吉田尚記
ソーシャルディスタンス、リモート、フルフレックス……コロナが日本社会に与えた変化は枚挙にいとまがない。では、エンタメの現場はどうだろうか? 当企画では、さまざまなエンタメの識者に〝ウィズコロナのエンタメ〞がどう変わりつつあるかを取材。今回は、ニッポン放送アナウンサーであり、パーソナリティ、イベント司会など幅広く活躍する吉田尚記氏に、ラジオとバーチャルの可能性を聞いた。
ラジオの最強の武器
――吉田さんは、〝日本一忙しいラジオアナウンサー〞と呼ばれるほど、パーソナリティやイベントの司会を数多くこなされています。コロナ禍以降、やはり状況は一変したのでしょうか?
吉田 コロナ以前は、年間300現場ほどイベントの現場にいたのですが、コロナによってイベント系は全部なくなりました(苦笑)。とは言え、配信に切り替わったので、司会業はあまり減っていません。動員数も驚くほど減っていない。大イレギュラーな一年の中で、僕は二つの目線から考えているのですが、一つはラジオ人として、そしてもう一つがバーチャルの住人として。実は、コロナになっても、この二つに関しては全然苦しんでいないんですよ。
――まず〝ラジオ人として〞から教えてください。
吉田 ラジオって、コロナ期間中に微増ではありますけど、聴取率が上がっているんですね。社会学者でありながら、現在はブシロード執行役員をされている中山淳雄さんが書かれた『オタク経済圏創世記』という本があります。コロナ以前に書かれたものですが、ものすごく示唆に富んでいて素晴らしい一冊でして、今後のコンテンツがどうなっていくかという予想を立てている。ブシロードは、『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』や新日本プロレスなどを運営・展開されているわけですが、中山さんが書かれていたことを僕なりにまとめると、「コンテンツとは作品を作ることではなくて、コミュニティを運営すること」であると。
――作って終わりではなく、そのあとが大事であると?
吉田 そうです。アニメ作品の場合、放送が終わると、知的財産(IP)を放置してしまうケースもありますが、ブシロードはアニメ作品というアドバルーンを打ち上げ、そこからコミュニティの規模を大きくするために、ゲームやラジオを展開するわけです。ラジオをコミュニティマネージメントの一部として考えている。僕は『ミューコミプラス』という番組を担当していますが、「自分はミューコミリスナーだ」という意識を持っている人って少なくないと思います。一方、『めざましテレビ』を見ている視聴者の中に、どれくらい「自分はめざましテレビウォッチャーだ」という意識を持っている人がいるかという話。ラジオはコミュニティを育成する装置として、著しく価値が高いと思っています。
――インタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA12月号にて!
HISANORI YOSHIDA
1975年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。ニッポン放送アナウンサー。ラジオ番組でのパーソナリティのほか、テレビ番組やイベントでの司会進行など幅広く活躍。またマンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、「マンガ大賞」発起人となるなど、アナウンサーの枠にとらわれず活動を続けている。『ミューコミプラス』(月~木曜日24時より放送中)のパーソナリティとして「第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞」を受賞。また、バーチャルMC『一翔剣』としても活動中。
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