【BUBKA12月号】『Rの異常な愛情── 或る男の日本語ラップに ついての妄想── 』 「ケツメイシの進化(中編)」

CreepyNutsのMCとして活躍するR-指定が日本語ラップを語り尽くすイベント『Rの異常な愛情──或る男の日本語ラップについての妄想──』。9月12日に敢行されたSHOWROOM配信・第2弾はケツメイシ特集! 異常すぎるケツメ愛により1stアルバムの1曲しか言及できなかった前号に引き続き、バラエティに富んだスキルフルな楽曲群について濃いめの解説が繰り広げられます!

写真/岡本武志

「大蔵ビブラート」の気持ちよさ

――前回に引き続き『ケツノポリス』の話を進めて行きましょう。

R 〝CLUBへ〞での、〝こっちおいで〞で引き込んだリスナーをもっと自分たちのフィールドに引き込んでいく展開に、ケツメの構成の上手さを感じますね。この曲はトラックの面でいくと、〝よる☆かぜ〞や〝君にBUMP〞に引き継がれていくような、都会の夜って感じの感触があると思うんですね。

――王道感があるよね。

R だけどRyoさんの〈仕事も早々に 即攻で放尿するように この世の嫌なこと流せ〉っていう(笑)。

――なぜ例えに「放尿」を(笑)。

R   急すぎる(笑)。ラップ的にはこの曲はおそらくパンチインで作ってるんですよね。一息でやってるんじゃなくて、1小節ごとに分けて録ってる。〈この真夜中の太陽がある限り また朝から働き汗たぎり〉は、一息で言うんじゃなくて、〈この真夜中の太陽がある限り〉と〈また朝から働き汗たぎり〉を別々に録ってくっつけてる。それによってブレスの位置を気にしなくていいから、矢継ぎ早にフレーズが入ってくる気持ちよさが生まれるんですよね。Ryoさんはそういう作り方が多いんですよね。

――レコーディング技術の高さや、完成形が見えてるからこそ出来る構成だね。

R そしてライムも上手いんすよね。〈この月夜に浮世忘れたいなら そう不器用に生きよう 明日へ さいなら〉っていうロングライムはザ・ケツメイシ。「月夜」「浮世」「不器用」「生きよう」で踏んで、「忘れたいなら」と「明日へさいなら」って、AB踏みとか挟み踏みとかっていうスキルを使いながら、短い韻をポンポン投げといて、長い韻で回収するっていう。こういうテクニックを、ポップな曲の中で見せつけるっていうのは、やっぱりラップ好きやからこそなんじゃないかと。聴いてても、口に出して言いたくなる気持ちよさがあるんですよね。実際、歌うと舌が気持ちいい。3バース目の大蔵さんがまたひどいこと言ってますね、〈週末の夜の街はネオン輝く 窓を開け車低音響かすSEXY娘ちゃん チェックしたいな あわよくばSEXしたいな〉っていう(笑)。

――RHYMESTERが〝あわよくばパワー〞と誤魔化したフレーズを(笑)。

R 核心に一気にかぶりついてますよ(笑)。この欲望への忠実さみたいなとこも好きなんですよ。ほんまに地元のツレみたいなんですよ。モテたい、酒飲みたい、遊びたいっていうのをラップしてるというか。だからそういうとこも入りやすかったんかなあ。あと、この曲は珍しく英語を使ってるんですよ。っていうのは、ケツメはある時期までリリックのなかで英語を使わないっていう、キングギドラルールを採用してたんですね。ギドラは『空からの力』を出した時に、英語は使えるけど、それで英語だから上手く聞こえるって言われるのが嫌で、あえて英語を使わなかったし、使っても日本語発音にしてた。その方向性をケツメも意識的か無意識的か、採用してるんですよね。ただ一方でパトワは使うっていう。


――インタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA12月号にて!


R-指定
大阪府出身のラッパー。高1から梅田サイファーに通いバトルやライブ活動を開始。2012年からMCバトル全国大会UMBで3連覇を成し遂げ、「フリースタイルダンジョン」の2代目ラスボスとして活躍。現在はDJ松永とCreepy Nuts として活動中。