【BUBKA1月号】エンターテインメントの行方 #04 郭晃彰

ソーシャルディスタンス、リモート、フルフレックス……コロナが日本社会に与えた変化は枚挙にいとまがない。では、エンタメの現場はどうだろうか? 当企画では、さまざまなエンタメの識者に〝ウィズコロナのエンタメ〞がどう変わりつつあるかを取材。今回は、『ABEMA Prime』チーフプロデューサーの郭晃彰氏に、変わりゆくネットテレビ、そしてコロナ時代に求められているものを伺った。

肌触りに近いコンテンツ

――郭さんは、2010年にテレビ朝日に入社し、2016年から自ら志願して「ABEMA(当時はAbemaTV)」に異動されたとお聞きしました。なぜ、テレビ局から新興のネットテレビに活躍の場を移そうと思ったのでしょう?

 期間限定で「ABEMA」の開局応援を行っている最中の2016年4月、熊本地震が発生しました。記者として気象庁から生中継を担当するなど、間接的に「ABEMA」にかかわっていたのですが、情報を届けた際に、ネット上で「分かりやすかった」「もっと知りたい」といった反応がすぐに返ってきたんですね。受け手の意見を踏まえながら、報道の姿勢を調整していくという試みが新鮮でした。また、15分ほどの番組を作るにしても、「ABEMA」では僕を含め2〜3人で作り上げることが当たり前だった。地上波であれば、同じ15分でもその10倍の人数がかかわります。自分で取材してきたものを、自分で編集し放送に乗せるプロセスを体験してみると、「これでいいじゃん」と。ワンステップで完結できてしまう自由にできる感覚が面白かったんですよね。逆に言えば、自分が面白くないとコンテンツも面白くならない――という感覚を初めて経験した。自分の触感と言うか、肌触りに近いコンテンツを作れるという点が面白いなと思い、開局応援後も「ABEMA」に居続けたいと思ったんですね。

――今でこそネットの雰囲気を取り入れている地上波の番組も増えてきましたが、当時はほとんど存在しなかったですよね。

 テレビ画面の下部に、Twitterのつぶやきが表示されるくらいでしたよね。でも、表示されているだけであって、例えばそのつぶやきを見て、『朝まで生テレビ!』で田原総一朗さんが、「ちょっと待って! 良いつぶやきがあったから!」と議論を変えたり、展開したりすることはない。そこで「ABEMA」では、ネットのコメントを反映させつつニュースや報道を届けてみたら面白いんじゃないかなって。ネットとの融合がはかれるのではないかと思ったんですよね。視聴者の意見を取り入れることによって、コンテンツも変化するという番組を作ろうと。それが『ABEMA Prime』の原点ですね。


ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA1月号にて!


TERUAKI KAKU
神奈川県生まれ、早稲田大学人間科学部卒業。2010年テレビ朝日入社。早朝番組でAD・ディレクターを3年間務めた後、社会部に異動し記者として奔走。国土交通省、海上保安庁、気象庁を担当。2016年、テレビ&ビデオエンターテインメント「ABEMA」の開局に参加。現在は『ABEMA Prime』チーフプロデューサーとして活躍する。薬害エイズ被害者の支援を行う社会福祉法人はばたき福祉事業団理事。