【BUBKA2月号】 話題の著者に直撃取材! 第26回 島村恭則 「みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?」

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第26回は、『みんなの民俗学 ヴァナキュラーってなんだ?』の著者である関西学院大学の島村恭則先生が登場。神様、妖怪だけが民俗学じゃない。バキュームカーも民俗学だった! 自分自身の“あれって何で?”を考える現代民俗学の醍醐味とは――。

江戸時代のサブカル感

――『みんなの民俗学』というタイトルが示すように、喫茶店のモーニングやB級グルメといった現代の日常に潜む民俗学を紹介する本書。見方によっては、「あるあるネタ」も民俗学なのかな? なんて思ってしまいました。

島村 結論から言えば、「あるあるネタ」も民俗学と解釈して大丈夫です。民俗学を教える先生の中には、〝アフリカの秘境に行くような番組は文化人類学、あるあるやトリビアを紹介するような番組は民俗学〞と説明される方もいらっしゃいます。民俗学って、自分の周りから出発して、どんどん遠くの方にたどり着くイメージ。一方、文化人類学は似たようなことをしているんだけど、自分の遠いところから出発して、だんだんと自分の方に向かってくるイメージです。文化人類学者は、同じ世界に住む人間だけど、異なる人間に興味があるため海外の調査をするわけですね。民俗学でも海外について触れるケースはありますが、自分自身の〝何だろう〞を考え、卑近な所から出発していくことが特徴として挙げられますね。

――むちゃくちゃ分かりやすいです(笑)。書籍の中で、まさにそういった身近にあるものをヴァナキュラー〈俗〉と呼び、「現代民俗学」と唱えています。民俗学と聞くと、柳田國男や折口信夫のような非都市部の因習を考証するイメージがあるのですが、なぜ島村先生は、こういった日常にあるヴァナキュラーにフォーカスを当てようと思ったのでしょうか?

島村 小学生のとき、ゴミ収集車に興味を持ったんですね。ゴミ収集車は、どこから来て、どこに向かうのか。同様に、霊きゅう車にも関心を覚えた。自分の生活圏の中には、身近なんだけどよく考えると、なぜそれが存在しているのか分からないものがあります。

――ありますね。そして、いま先生から指摘されて気が付いたのですが、最近、霊きゅう車って見ないですね!?

島村 昔はよく見かけては、親指を隠したりしていたのにね(笑)。今もあるのですが、かつてあった上部の「宮部分」がなくなっている。日本で走っていた霊きゅう車は、中古でアジアに輸出され、モンゴルなどで現役として活用されています。あと、バキュームカーも最近は見かけないでしょう?


ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA2月号にて!


島村恭則
1967年東京生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科単位取得退学。博士(文学)。現在、関西学院大学社会学部・大学院社会学研究科教授、世界民俗学研究センター長。専門は、現代民俗学、民俗学理論。著書に『民俗学を生きる』(晃洋書房)、『日本より怖い韓国の怪談』(河出書房新社)、『文化人類学と現代民俗学』(共著、風響社)、編著に『引揚者の戦後』(新曜社)、『民俗学読本』(共編著、晃洋書房)などがある。