【BUBKA3月号】話題の著者に直撃取材! 第27回 特別編 柳澤健 「2016年の週刊文春」
ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第27回は、『2016年の週刊文春』の著者であるノンフィクション作家・柳澤健氏が登場。なぜ『週刊文春』は面白いのか――。花田紀凱と新谷学。名編集長となる二人と、同じ時間を過ごした著者が語る、本書の中でも触れられていないエピソード。ものづくりは信頼と熱量だ。
草野球とイタリアW杯
――これまで柳澤さんは、『〇〇年の△△』と名付けられた書籍を多数執筆されています。今回、ゲス&ベッキー、甘利大臣辞任などのスクープを連発していた『2016年の週刊文春』にフォーカスを当てるにいたった経緯を改めて教えてください。
柳澤 文春砲華やかなりし2016年に光文社の樋口健くんという優秀な編集者が、当時『週刊文春』編集長だった新谷学くんに「新谷さんの本を作らせてほしい」と依頼したんです。新谷くんは先約があったから断ったんだけど、話をするうちに『2016年の週刊文春』というテーマとタイトルが思い浮かんだ。『〇〇年の△△』というタイトルの本は私のトレードマークなので、書き手は柳澤がいいんじゃないか、という話になったんでしょう。私は文春では新谷くんの4年先輩にあたります。
吉祥寺までわざわざやってきてくれた樋口くんと話す中で、私は、花田(紀凱)さんと新谷くんの二人を主人公、もしくは狂言回しにすることを思いついた。
花田さんは1990年前後の『週刊文春』黄金期の編集長。時代が異なる二人の編集長を主役にして、文藝春秋100年の歴史と『週刊文春』60年の物語を、スクープの裏側を交えつつ書けばおもしろい読み物になるんじゃないか、ということです。
タイトルこそ『2016年の週刊文春』ですが、文藝春秋の創業者である菊池寛から紐解くことにしました。
――当初から、そこまで掘り下げて書く予定だったのですか?
柳澤 「文春とはどんな会社なのか?」ということを説明するためには、天才的プランナーである菊池寛から始めるのがじつは一番手っ取り早い。たとえば、芥川賞と直木賞は菊池寛が友人の作家たちを偲ぶために作った賞ですけど、発表は雑誌が売れない2月と8月。結構ちゃっかりしてるんです。〝座談会〞も〝別冊〞も菊池寛が始めたものです。
――まさに天才ですね。この手の企画をしている出版人は、菊池寛に感謝しないといけない(笑)。
柳澤 ホントですね。でも、今から35年以上も昔、文藝春秋に入社するときの私はそんなことはまったく知らなかったから、面接を受けた際、「誰だか知らないけど、応接室に創業者の像を麗々しく飾るところが古めかしくて嫌です」と言い放ってしまったんですよ。「まことに生意気だ」と、後日、面接官から呆れられましたが、入社できたのが不思議です。
ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA3月号にて!
柳澤健
1960年東京都生まれ。ノンフィクション作家。慶應義塾大学法学部卒業後、空調機メーカーを経て株式会社文藝春秋に入社。花田紀凱編集長体制の『週刊文春』や設楽敦生編集長体制の『スポーツ・グラフィック ナンバー』編集部などに在籍し、2003年に独立。2007年刊行のデビュー作『1976年のアントニオ猪木』は高い評価を得た。主な著書に『1985年のクラッシュ・ギャルズ』『日本レスリングの物語』『1964年のジャイアント馬場』『1984年のUWF』などがある。
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