【BUBKA 1月号】武道館に立った川崎のラッパー・BAD HOPとは? TRACK1 磯部涼(『ルポ川崎』作者) インタビュー
川崎出身の8 人組HIPHOPグル―プ:BADHOP。幼馴染で構成され、年齢は平均23歳という若さながら、同世代の若者を中心に圧倒的な支持を受け、「新世代のニュ―ヒ―ロ―」という言い方すら陳腐に感じるような、既に社会現象とも言える旋風を起こしている彼ら。正規でリリ―スされた音源は二枚のみで、様々な客演や特定のショップへ音源「投下」、そしてYou Tubeといった、既存の音楽ビジネスからすると、非常にゲリラ的とも言えるアプロ―チにも関わらず、2018 年10月には武道館でのワンマンを即日完売させ成功させた。その武道館を「ルポ川崎」などを通しBAD HOPを見つめてきたジャ―ナリスト/ライタ―の磯部涼は、そして弱冠二十歳の現役女子大生でありアイドルであるlyrical schoolのhimeはどう感じ、どう観たのだろうか。
ヤンキ―から野球部まで
―― 今回のBADHOP武道館ワンマンをを観ての磯部さんの感触はいかがでしたか?
磯部 武道館でワンマンを行うというのは、やはり感慨深かったですね。僕が今回の前に武道館に行ったのが「BAZOOKA!!!高校生ラップ選手権」の第10回大会(2016年8月)だったんですよ。
―― それまでの出演者、しかも「高ラ選」で有名になったラッパ―を集めた記念大会のような感じのイヴェントでしたね。T―Pablow君はその第一回、第四回の優勝者として出ていて。
磯部 その時も若いお客さんでいっぱいで新しい時代の幕開けを感じたんですけど……BAD HOPは同じ年の12月にはクラブチッタでフリ―のワンマンをやって、今年4月にはZEPPでワンマンをやって。ただ、単体でこんなに早く武道館にたどり着くとは、流石に思っていなかった。
―― スピ―ド感としてはとんでもないですね。特にヒップホップ・ア―ティストとしては異例中の異例で。
磯部 で、いざ行ってみると構成もシンプルで、ライブハウスにいると錯覚するくらい、ぜんぜん気負いを感じていないようなところがまた良かったですね。武道館ってやっぱりでかいなぁと思ったのは最初だけだった。
―― あの規模がいまの彼らにとって必要な場ということですよね。
磯部 無理やり客席を埋めたってことでもないし、必然性を感じましたね。
―― 「武道館」は一つの称号でもあるから、時々「こんなにスカスカなのに……」という興行もありますが、そういった感触は全く無かったですね。むしろ、あれだけのファンが収容できる場所として、武道館が必要だったということなんだなって。
磯部 そうですね。それに、チッタの時、Ghetto Hollywood(映像作家)が「バックヤ―ドにこんなに若者しかいないチッタを初めて見た」って言っていたんですけど、相変わらずその手作り感が残っていたのも最高でした。客席も当然、若者ばかりで。
―― とにかくオ―ディエンスの客層が若かった。
磯部 やんちゃな感じの子たちがもっと良い席で見ようと空席に移動して、後から業界関係者っぽいおじさんが来たんだけど注意するのをためらって立ち尽くしているとか、普通のライブではなかなか見られない光景でした(笑)。
――インタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA 1月号にて!
磯部 涼 1978年生まれ。
音楽ライタ―。HIP HOP、アンダ―グラウンドミュ―ジックと社会に関する本を多数執筆。主な書籍に『音楽が終わって、人生が始まる』など。『ルポ川崎』では川崎に根付いたBAD HOPなどユ―スカルチャ―と、彼らが生まれた社会背景に迫った。BUBKA本誌には沢尻エリカのラジオにまつわる企画以来だとか……。
BAD HOP
双子のT-PablowとYZERRを中心に、Tiji Jojo、Benjazzy、Yellow Pato、G-K.I.D、Vingo、Barkで構成される。従来の音楽ビジネスにとらわれない無料のDL音源・CDで、「日本で一番空気が悪い場所」と言われる地元・川崎区から全国にその名を知らしめる。初の全国流通アルバム『Mobb Life』(2017)、EP『BAD HOP HOUSE』(2018)はともにiTunes総合チャートで1位を獲得した。
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