【BUBKA 2月号】話題の著者に直撃取材!! BOOK RETURN 第三回 安田峰俊「さいはての中国」

日本からほど近い場所に、こんなに面白い国がある

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする新企画がスタート! 第三回は、『さいはての中国』を上梓した中国ルポライターの安田峰俊氏が登場。

大手メディアが報道する中国とは一線を画す等身大の中国を斜め上すぎる着眼点から取材する同氏が語る、お隣・中国のおかしさとは!?

現代中国の素顔

――『さいはての中国』では、"アジアのシリコンバレー"と呼ばれる中国・深センをさまようネトゲ廃人、謎のゆるキャラが勢ぞろいする共産党テーマパーク、カナダに根を下ろす「反日グランドマスター」に会いに行くなどなど、多岐にわたって中国の知られざる側面を伝えています。

安田 単純に地理的な辺境地帯だけを意味するのではなく、誰も気にとめず注意を払わない、現代中国の未知なる素顔を伝えることができればと始めた企画でした。雑誌『SAPIO』(小学館)に寄稿したルポルタージュを大幅に加筆、改稿した書籍なのですが、我ながらさまざまな中国の側面を見たなぁという思いです。

――安田さんは、ルポライターとして中国各地へ行かれています。書籍の中でも、深セン、広州、内モンゴル、大連、南京など、まさに南船北馬。中国に対して関心を持っているものの、行ってみようとは思わない……そんな人は多いと思います。中国の魅力を伝えるとしたらどんなことが挙げられるでしょう?

安田 仰るように、「大気汚染やマナーがひどく、独裁政権や監視社会の下では人間が住むには厳しすぎるんじゃないの!?」というイメージを抱いている方も少なくないですよね。

――だと思います。

安田 ところが、実際には人間が暮らしている。多様な人がいて、さまざまな営みがある。世間一般で伝えられている中国の情報や印象を、自分で気軽にアップデートできる国こそ中国です。伝聞の情報と、実際に自分の目で見て触れた実感が、これほどまでに乖離している国も珍しい。中国に行くと、「世の中にあふれている情報を疑う力」がイヤでも芽生えるんです。

――社会や日常を疑う力というのは大事ですから、中国に行くとその力が養われるかもしれないと。

安田 良くも悪くも(笑)。「世の中の主要言説や一般常識って何だったの!?」という具合に発見の宝庫です。どうしようもないことも山のようにあるのですが、実際に足を運ぶと自分の中にある常識や情報を疑うことができる素晴らしいサンプルであることは間違いない。日本からほど近い場所に、こんなに面白い国があるのだから、ぜひ訪れてみてほしいですね。


――インタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA 2月号にて!


安田峰俊
1982年滋賀県生まれ。中国ルポライター、立命館大学人文科学研究所客員協力研究員。立命館大学文学部卒業後、広島大学大学院文学研究科修了。著書に『和僑』『境界の民』(KADOKAWA)、編訳書に『「暗黒・中国」からの脱出』(文藝春秋)など。2018年、六四天安門事件を取材した『八九六四「天安門事件」は再び起きるか』(KADOKAWA)が第5回城山三郎賞を受賞。