【BUBKA 7月号】話題の著者に直撃取材!! BOOK RETURN 第8回 本橋信宏「高田馬場アンダーグラウンド」

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第八回は、『高田馬場アンダーグラウンド』を上梓した本橋信宏氏が登場。BUBKAの版元である白夜書房が、高田馬場で生まれた伝説の一つだと、どれだけの人が知っているだろうか。東京の異界を描き続けてきた著者自身の青春の地でもある高田馬場とは、どのような磁力を持つ場所なのか、話を聞いた――。

本橋 相変わらず白夜書房の級数(文字の大きさ)は、小さいんですね。現在、コアマガジン代表取締役を務める中澤愼一氏は、白夜書房にいた際に制限なく書いてくるライターの文章をほとんど削らない人だから。その影響で級数が小さくなったんだけど、今もその伝統が残っているんだから面白い。しかもコアマガジンから生まれたBUBKAは、紆余曲折を経て、白夜書房に移管し、こんなにリニューアルしてしまった(笑)。

――『高田馬場アンダーグラウンド』でも描かれている”エロ本の開拓者たちが、なぜか高田馬場に集まった”という話ともリンクしてきます(笑)。

本橋 高田馬場に、エロ本の天才たちが集まっていたんだからすごいこと。ITの巨人たちが集まったシリコンバレーに倣って、私は高田馬場をヘアバレーと呼んでいます。女性のヘアをいかに見せるかに心血を注いだ巨星が集った街、それが高田馬場。エロ本界のGAFA(Goog le、Amazon、Facebook、App le)とも呼べる人物が、同じ屋根の下で仕事をしていたんだから奇跡としか言いようがない。

――ハハハハハ! まず最初にお聞きしたいのが、『高田馬場アンダーグラウンド』は、東京の異界シリーズの第5弾になります。これまで、鶯谷、渋谷円山町、上野、新橋と扱ってきましたが、そもそも異界シリーズが誕生した背景は何だったのでしょう?

本橋 担当編集のS君が、鶯谷を題材にしたノンフィクションを出したいと、私に白羽の矢を立てたことが始まりです。当時、井上理津子さんが飛田新地を題材にした『さいごの色街     飛田』という本を発表しました。東の飛田的なエリアを考えたときに、「鶯谷はどうだろう」と。

――本橋さん自身は、鶯谷という街に惹かれるものがあったんですか?

本橋 実をいうと、当初はそれほどなかった(笑)。というのも、当時は鶯谷は風俗的には終わっている街の印象が強くて、池袋や新宿のようなネオン輝く歓楽街とは違い、絵になりにくいと思われていましたから。ルポとしては、地味すぎて面白味に欠けるのではないかと思いました。「売れるんだろうか」と。

――アンダーグラウンドどころか、ダークサイドすぎると。

本橋 ところが、取材を進めていくと、この場所で生きている人たちの人間性やドラマが否応にも溢れて、こぼれていく。また、自分自身が街への愛着と知識がある状態で、街中を散策すると景色が違って見えてくる。鶯谷はラブホテルのメッカだけど、”昭和の爆笑王”こと初代林家三平師匠が生まれ育った根岸と目と鼻の位置にある。あの三平師匠が闊歩していたと考えると、いろいろと香ばしい。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA 7月号にて!


もとはし のぶひろ
1956年埼玉県所沢市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。村西とおる監督がオーナーを務めた伝説のカルト雑誌「スクランブルPHOTO」の編集長などを歴任。ノンフィクション・小説・評論など幅広い分野で活躍中。著書に『東京最後の異界 鶯谷』(宝島SUGOI文庫)『ベストセラー伝説』(新潮新書・6月14日発売)など多数。『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)が、2019年夏より山田孝之主演でNetflixにてドラマ化。世界190カ国で同時配信予定。