【BUBKA 7月号】中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)愛と幻想の原辰徳 第7回「昭和から平成の巨人監督全部乗せ」
元ファンからコラム日本一に輝いた最強野球ライター
中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)が書き綴る「2019年の若大将」
「5日が短い間隔とは思わないんだけど。世の中そうなっているのかね。俺は違うと思う」
一応断っておくが、知り合いのおじさんが洗体エステに通うスパンの短さを言い訳しているわけじゃない。巨人の原監督が先発投手の中5日登板について、そう持論を展開した。今シーズンは絶対的エースの菅野智之が度々KOを食らう、まさかの絶不調。投げ過ぎの勤続疲労という声も多いが、ボスはある意味前時代的な起用法でローテを回している。
記念すべき新元号初戦を坂本勇人の球界令和第1号アーチにエース菅野の完投勝利で飾ったチームは、そのキャプテン坂本の開幕から36試合連続出塁というセ新記録とともに首位快走。しかし、この記録が止まるとともに阪神戦の菅野の自己ワースト10失点もあり快進撃もひと休み。でも、俺らは野球だけを見ているわけじゃない。人間タツノリのコミュニケーション術までセットで楽しんでいる。例えば、今季初先発の今村信貴に対しては審判団がリプレー検証中のちょっとした空き時間にこう声を掛けた。
「もう少し見ていて楽しくさせてくれないか。マウンドで自分を高揚させて、楽しんで放ってくれ」
俺や周りじゃなく、お前さん自身は楽しんでいるのかいと。いつか子どもがテストで25点の赤点を取ってきても、こんな台詞を言えるオヤジでありたい。いいか、楽しんで目の前の問題を解くんだと。ママや先生じゃない、クラスメートでもない。自分のために楽しんで勉強をやってくれ。おぉ、なんだか話の分かるいいオヤジ感が半端ないぜ。
さらに菅野が5失点も打線の奮起で5勝目を挙げた際には、試合後のテレビインタビューで「いつも、どちらかというと智之がチームを救っているような状態だったから。今日は逆に打撃陣が彼を救った。まあ鶴でも恩返ししますから、彼もたくさんのものを返すでしょう」なんつって、令和の時代に古き良き”鶴の恩返し理論”を披露。この考え方はいつ何時も応用が効く。例えば、新入社員が大きな痛恨のミスをやらかしたとする。俺らは自分にも何もできない若手時代があったことも忘れてイージーミスに腹を立てがち。けど、そこで”鶴の恩返し理論”の発動だ。いつかこの若僧のミスが貴重な経験となり、我が社への利益へと繋がる。だったら途中で転職されないように辛抱強くやさしく育てようなんて思うわけだ。怒りも消せる魔法の鶴の一声である。
極めつけは故障離脱の期待の若手・吉川尚輝に対する紙面を介した檄。「キャンプで痛めて、かばいながら、だましながらやっていて、結果的にそんなペナントレースは甘かねぇな、と」スポーツ報知で吼えるタツノリ。さらにちょっと長いが危険なシュート発言は続く。
――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA 7月号にて!
なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)
1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)などが好評発売中!
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