【BUBKA 12月号】球界の野良犬と最強野球ライター3人が集結! プロ野球ペナントレース総括座談会 愛甲猛/安倍昌彦/キビタキビオ/中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)

開幕直前にペナントレースの順位をガチ予想した4人だったが、残念な結果に終わってしまった。ただ、今年もプロ野球は最高に面白かった。原辰徳復活と丸佳浩の加入で5年ぶりのリーグ優勝に輝いた巨人。若獅子・森友哉が本格化し自慢の猛打に磨きがかかりV2を成し遂げた西武。記録を次々に塗り替えた19 歳の大砲。彗星の如く現れたサブマリン。他にも話題に事欠かなかった、令和元年のペナントを振り返る。

復活の山口俊

――開幕直前にこのメンバーで順位予想座談会をしてもらったので、今回はペナントレースの振り返りです。まずは見事、巨人の優勝を的中させたセ・リーグからいきましょう。

愛甲 巨人が優勝できたのは強かったというよりは他がだらしなかったから。特にカープが想像以上にダメだったよな。前半の途中まで松山(竜平)ダメ、田中(広輔)ダメ。ピッチャーも床田(寛樹)が出てきた以外は成長が見えなかった。あと2位に予想したヤクルトだよ。あそこまで打たれるとは思ってなかった。

キビタ 愛甲さんはヤクルトの打線を評価してましたからね。

愛甲 打線は予想どおり良かったけどピッチャーが悪過ぎた。勝ち頭が8勝の石川(雅規)じゃなぁ。

キビタ ローテーションはしっかり守れるけど、貯金をいっぱい作れるタイプではないですしね。

愛甲 タイプ的には小川(泰弘)がエースなんだけど球にかつての勢いがない。よっぽどモデルチェンジしないと来年以降も苦しいと思う。ただ、もともと器用なピッチャーじゃないんだよね。とりあえず2位3位予想のチームがコケちゃえば巨人も楽になるよ。

中溝 言われてみれば今年ほど強さを感じずに優勝したのは初めてかもしれないです。勝負どころの8月上旬には2位に0・5ゲーム差に詰め寄られたけどギリしのぎ、8月終わりから9月の頭に6連敗してもライバルチームがお付き合いしてくれて首位を明け渡さなくてすんで……原監督の勝負運の強さを感じました。そして、あの状況でクロマティを球場に呼べる胆力も(笑)。あと、個人的には阿部(慎之助)のチームから坂本(勇人)のチームになった、歴史が変わる瞬間に立ち会えたという思いがありますね。

愛甲 でも、巨人優勝の最大の材料はやっぱり丸(佳浩)だよ。丸がきっちりセンターのポジションを務めた一方でカープは(丸のポジションに)入れかわり立ちかわりでしょ。FAで巨人にきてここまで成功したのは小笠原(道大)以来なんじゃない。

中溝 久々にファンから文句の出ないFAでしたね。「森福(允彦)獲ってどうすんの?」みたいな感じでしたから(笑)。

キビタ とはいえ今年は坂本の年ですよね。中溝さん的にも文句なしのMVPですか?

中溝 数字的には文句なしですね。でも、打順の兼ね合いを考えると後ろに丸がいて勝負してもらったことも大きかったと思うんですよ。あと、4番の岡本(和真)も序盤不調だったけど丸がいたことで非難が和らいだ面もあります。なので表は坂本だけど影のMVPは丸かなって感じですね。


――座談会の続きは絶賛発売中のBUBKA12月号にて!


愛甲猛
横浜高校のエースとして80年夏の甲子園を制覇すると、同年のドラフト1位でロッテに入団。3年間の投手生活の後に打者に転向し、主軸打者として活躍。96年中日に移籍し、2000年限りで現役を引退。現在は俳優業や野球解説などを行っている。

安倍昌彦

「流しのブルペンキャッチャー」として、ドラフト候補投手時代の寺原隼人、大竹寛、石川雅規、館山昌平らのボールを受ける名物連載を行なっていた、野球ライター。著書に『スカウト』『流しのブルペンキャッチャーの旅』などがある。


中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)

2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』が話題になり、『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた野球ライター。昨年12月には『ボス、俺を使ってくれないか?』で小説デビューも果たした。


キビタキビオ

ストップウオッチでプレーを測る「炎のストップウオッチャー」を『野球太郎』で連載する野球ライター。野球バラエティ番組『球辞苑』などにも出演しており、著書に『80年代プロ野球名語録 パ・リーグ編』or『同 セ・リーグ編』がある。