【BUBKA 1月号】音楽家・近田春夫の現代アイドル論「スターダストは秋元康、つんく♂とは違うところで女性アイドルを捉えてる」

スターダストプラネット(スターダストのアイドルセクション)が主催するライブパフォーマンスで対戦するイベント『ライブスタイルダンジョン』で、審査員を務めた近田春夫氏。

日本の音楽界のレジェンドは、あの現場でなにを感じ、現在のアイドルシーンをどのように考えているのか。

プロインタビュアー・吉田豪が迫る。

【声の破壊力】

――この前の『ライブスタイルダンジョン』は近田さんの審査が好評だったんですよね。

近田 あ、ホントに? だったらよかった。素直に思ったこと言っただけなんだけど。

――それが新鮮だったんですよ。ほかの審査員はふつうにファンだったりするので、個人の思い入れとかがどうしても入ったりして。

近田 俺ぜんぜんなかったから。

――まったくないですよね。そもそもアイドルというジャンルに対する思い入れは?

近田 ないね。子供の頃から、どういう形でも夢中になったものってGSぐらいだから。

――その後のヒップホップとかにしても。

近田 夢中になった人はいないね。どっちかっていうと、その人間より作品がおもしろかったり、その作品の方法論がいままでにないものだったり、どうやってこういうものを発明したんだろうとか、どうしてこういうことになっちゃったんだろうみたいな興味が何よりも最初にあるんで。たとえばGSの時代でも、このグループだから全部好きとかじゃなくて、その曲は好きだけどこの曲はべつにどうでもいいとか、それはイギリスとかアメリカのロックに対しても、そのアーティストだからっていうことで全部を好きになることはまずなかったね。最初にいいなと思って一応ファンみたいになるんだけど、だんだん再生産的になってくるんだよ。そうすると作り手もそろそろ自分のことに飽きてるんじゃないかなって感じてきちゃって自然と離れちゃうみたいなことをずっと繰り返してたのかな。

――歌謡曲とか、それこそ郷ひろみさんとかを最初に評価した人っていう印象ですけど、それも本人というよりは曲なわけですか?

近田 そうですね。特にバーニングに入る前だよね。バーニングに入ってからも筒美京平さんの曲はよかったんだけど、初期の岩谷時子とかああいう人が書いてる郷ひろみの世界観っていうのはめちゃくちゃなんで、そこに京平さんの生理的に抗えないようなメロディで、なんか出てくるのが人間のクズみたいな少年ばっかりなんだよね。ヤリ逃げみたいなのばっかりで、その感じがおもしろくて。京平さんあっての郷ひろみだと思うんで。ひろみくんもバーニングに行って後半はほかの人の曲をけっこうやるようになっちゃって、そうなっちゃうと最初の頃ほどは……。アッチッチとかいまだに好きなんだけど、昔に比べると……。でも、あの声はいまだに好きなんだよね、なかなかないじゃん。女の子のアイドルってそんなに声に特徴のある人がいないから、そこはどこまでいっても俺なんかはラジオから流れてくる声に惹かれるっていうのが一番大きいんで。いまはわりとビジュアルあってのものじゃん。だから声だけで楽しめるっていうのは少ないのかなっていう。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA1月号にて!


ちかだ・はるお
1951年生まれ。東京都出身。慶応大学在学中、キーボード奏者としてカルメン・マキ・バンドや内田裕也グループなどに参加。1975年“近田春夫&ハルヲフォン”としてデビュー。1985年にヒップホップレーベル「BPM」を立ち上げ“、プレジデントBPM”名義でラッパーとしての活動をスタートさせ、日本語ラップの先駆者となるなど常に先端の音楽を作り続けている。CMソングも多数手がけており、森永製菓「チョコボール」や日本コカ・コーラ「爽健美茶」など1000曲以上のCMソングを世に送り出している。