【BUBKA 1月号】 話題の著者に直撃取材! 第14回 稲田俊輔 『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第14回は、サイゼリヤをはじめとしたチェーン店への鋭すぎる分析と愛情が込められた『人気飲食チェーンの本当のスゴさがわかる本』の著者・稲田俊輔氏が登場。数々の飲食店を手掛ける変態料理人が見た「チェーン店のスゴさ」とは!? チェーン店への上から目線は、時代遅れだ――。

「ハイブリットはしご」

――稲田さんが、チェーン店の魅力に気が付いたきっかけは、何だったのでしょうか?

稲田 サイゼリヤでした。チェーン店と聞くと、「安かろう悪かろう」という具合に上から目線で語られがちですが、さりげなくさまざまな主張があって、実は骨太です。特にサイゼリヤは、パンキッシュな試みをしているチェーン店。本の中で触れているように、イタリアの味をそのままテーブルに再現している。チェーン店というのは、消費者ニーズのど真ん中に合わせて、売りやすいものだけを提供することが一般的ですが、サイゼリヤはあえて本場志向という挑戦をしています。飲食店を経営する同業者として、「侮ってはいけない」と気が付いて、そこからさまざまなチェーン店の魅力を深掘りするようになりました。

――書籍の中でも書かれていましたが、高品質低価格の生ハムやサラミ、バッファローモッツァレラなど、まさかサイゼリヤがこれほどまでに質への探求心が強いとは、目からウロコでした。読んでいると、一刻も早くサイゼリヤに行きたくなる魔書です。

稲田 僕も当初は、「我々のお店の方が美味しいに決まっているのに、何でチェーン店ばかりに世間の人は行くんだろう?」と納得がいかなかった。”ダークサイドに堕ちる”と呼んでいるのですが、個人飲食店を経営している人は、嫉妬も相まって「ネームバリューがあるだけのチェーン店ばかりに人が集まるなんてふざけるな!」と闇落ちすることが往々にしてあります(笑)。しかも、ダークサイドに堕ちた人って辛そうなんですよ。

――稲田さんも、アナキン経験者だったわけですね(笑)。この本を通じて、「チェーン店で仕方なくご飯を食べているような人たちに、”実はすごいものを食べているんだ”と気が付くきっかけになってほしい」と述べていますが、個人飲食店に対してもきっかけになりそうですね。

稲田 そうそう! すごいことをやっているんだから、お互い認め合おうじゃないかって気持ちですよね。

――今と昔ではチェーン店も変わってきていると思うのですが、サイゼリヤのように尖ったことをしているチェーン店って、やはり少ないのでしょうか?

稲田 意外とチェーン店は挑戦的ですね。むしろ、尖ったものが希薄になっているのは個人店。ラーメン店やカレー店などは、嫌われても構わないから個性を出すといったお店が少なくないのですが、全体で見るとクレームを恐れて間口を広くとる個人店が多い。本来個人店って、嫌われてもいいから我が道を進むことができるはずなのに、無難な道を選ぶケースが目立つ。そういった部分まで、チェーン店の後塵を拝している印象です。ダメだったら取り下げて新しいメニューを提案するといったことは、個人店の方がフットワークが軽いはずなのに、チェーン店の方がどんどん新しいメニューを登場させている。尖った個人店が減っている分、チェーン店に追い風が吹いている状況もあると思います。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA1月号にて!


いなだしゅんすけ
鹿児島県生まれ。関東・東海圏を中心に和食店、ビストロ、インド料理など幅広いジャンルの飲食店25店舗(海外はベトナムにも出店)を経営する円相フードサービス・専務取締役。自身は全店のメニュー監修やレシピ開発を中心に業態開発や店舗プロデュースを手掛ける。和・洋・エスニック、ジャンルを問わず何にでも食いつく変態料理人として、またナチュラルボーン食いしん坊として、「イナダシュンスケ」名義でツイッターで情報を発信したり、記事をグルメニュースに執筆することも。