【BUBKA 1月号】『原辰徳に憧れて ービッグベイビーズのタツノリ30年愛ー』発売記念コラム 「かつて原辰徳は国民的アイドルだった」

写真提供/c共同通信社・アマナイメージズ

「こ、これスゴイっすね……」

 コメダ珈琲店で打ち合わせ中、新刊『原辰徳に憧れて‐ビッグベイビーズのタツノリ30年愛‐』の執筆資料で使った80年代前半の週刊誌片手に担当O編集マンは驚愕していた。勘違いしないでほしいが、天地真理のヌードグラビアにビビっているわけではない。90年生まれで選手・原の現役時代をほとんど知らない彼らの世代にとって、「80年代のタツノリ人気」はまるでギャグレベルのありえなさらしい。

 例えば、雑誌『週刊平凡』82年4月15日号では「総額1億5000万円CM界のスーパースター原辰徳」という特集が組まれている。「売れっ子の原選手だけにどのCMも3時間くらいで撮影しなくてはいけなかったらしい。こんないそがしい撮影は初めてとさすがのCMマンもお手上げ。2年目のジンクス、大丈夫かな?」というリード文からも分かるように、前年新人王を獲得して巨人は日本一に輝き、まさに長嶋茂雄や王貞治に代わるスーパースター誕生と世の中は沸き立った。偉大なONとは違い、原はキッズやギャル人気が高く、そこに注目した企業からCM出演のオファーが殺到する。

 富士重工からは「調査データの結果、原選手(の人気)は長嶋、王に匹敵すると出ています。スバルの顔、ミスタースバルとして更新して続けていきたい」とグアム撮影に臨み、クルマの横で唐突に元気ハツラツ腕立て伏せをかますタツノリ。スポーツメーカー美津濃は「誰でも気軽にスポーツに親しんでほしい。スポーツは言葉のいらないコミュニケーションであるという考えが美津濃にあり、その象徴としてフレッシュなスポーツマンの原選手と契約したわけです」なんてジョギング編、馬跳び編、腹筋編の3本をハワイで撮影する力の入れよう。


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なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)
1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)などが好評発売中!