【BUBKA2月号】話題の著者に直撃取材! 第15回 村上謙三久 『声優ラジオ“愛”史声優とラジオの50年』

BUBKAがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第15回は、声優ラジオ(アニラジ)の歴史をひも解いた『声優ラジオ“愛”史 声優とラジオの50年』の著者・村上謙三久氏が登場。実は、ラジオ文化において重要な役割&先進的な取り組みを展開する声優ラジオ。“一歩進んだ面白さ”──を知ると、もっとラジオが面白くなる!?

本業はプロレス記者

――村上さんは、今回の『声優ラジオ”愛”史』を含め、多くのラジオ番組を取材されています。取材をされる際って、どれくらい掘り下げて臨むものなんですか?

村上 「こいつ本当は聞いていないな!?」と思われるのが怖いので、実際にその番組のリスナーであっても、聴き直してから臨むようにしています。それこそ、山里亮太さんに取材を行ったときは、普段から聴いてはいたものの300時間分くらいは聴き直しました。移動中など手が空いているときはずっと聴いてしましたね(笑)。

――300時間!(笑)  

村上 声優さんがパーソナリティーを務めるラジオの場合、膨大な数の番組があるので全部をフォローすることは難しいんですよ。それでも取材をするにあたって、少なくとも大体一年間分を聴いてから臨むようにしています。ラジオって言葉にできない、雰囲気の面白さがあると思うんです。”神回”と呼ばれるような放送回をつまみ食いしても、その番組に通底している雰囲気や面白さは感じ取ることができません。もはや強迫観念とも言えるのですが、それなりに聴きこんでからではないと怖いんですよ。

――今回、なぜ声優ラジオにフォーカスを当てようと思ったのでしょう?

村上 僕はインタビューが好きなんですよね。ムック本『声優ラジオの時間』を手掛けた際、インタビュー対象として声優さんがとても面白かったんです。声優さんって、裏方気質というかアーティスティックというか、タレントさんや芸人さんとは違う観点でラジオ番組と向き合っていて。また、ラジオ番組の歴史を掘り下げていくと、声優の野沢那智さんと白石冬美さんコンビがパーソナリティーを務めた伝説的な深夜放送ラジオ番組『パックインミュージック』(『ナチチャコパック』の愛称で親しまれていた)が大きなトピックとして存在しています。そもそも声優が日本で生まれた1つのキッカケはラジオですし、声優とラジオの関係性は深いんですね。声優さんに加えて、番組スタッフにも取材をするようになって、「これは一冊の本として世に送り出すべきでは」と考えるようになりました。

――たしかに本書を読むと、日髙のり子さんがラジオに臨むにあたって、かつてアシスタントを務めていた『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン』で学んだことを大切にしているなど、声優ラジオの意外なDNAが分かります。まさか日髙さんに鶴光イズムが流れているとは……。

村上 僕自身、声優ラジオのヘビーリスナーではないから、ファン視点で書くことはできません。証言者の発言をもとに、外郭を掘り下げて、声優ラジオの歴史を浮き出させることができればと。あくまで客観性を第一に、声優ラジオの文脈を残したかったんです。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA2月号にて!


ムラカミ ケンサク
1978年東京都生まれ。編集者・ライター。プロレス・格闘技のモバイルサイトで取材編集を経験後、雑誌編集を経てフリーに。『お笑いラジオの時間』『声優ラジオの時間』シリーズ(綜合図書)の編集長を務める。子ども時代からの趣味であるラジオ関連の執筆・編集の他に、現在もプロレス記者としても活動中。著書に『深夜のラジオっ子──リスナー・ハガキ職人・構成作家』(筑摩書房)。