【BUBKA6月号】新型コロナウイルスで揺らぐエンタメ業界最前線 ラジオ パーソナリティー 杉作J太郎

全世界での感染者238万人超、死者16万人超。

日本での感染者11,119人、死者186人(2020年4月21日現在)。

とても言葉にならない、この記録的な数字は新型コロナウイルスによるものだ。日々増えていく数字と向き合うだけで湧いてくるのは、無機質な恐怖のみ。

では、映像や音声を記録し、言葉にならないことを言葉にするテレビやラジオ、映画といったエンターテインメントは、このコロナ禍を我々にどう伝えてきたのか?

そして、今後どのように伝えようと試みるのか?

こんな汚い奴がいるのか!

 いや〜、南海放送のラジオブースにもアクリル板が入りましたよ。気分は東映実録ヤクザ映画の松方弘樹か梅宮辰夫ですね。面会シーンとかでよく観ましたよね。しかし、すごい時代になりましたよ。南海放送ではどんな小部屋にもふんだんに消毒液が置かれていますし、全てのスタジオのドアを開けっ放しにしていて空気の流れの悪い部屋はひとつもない。僕の番組だとゲストも呼ばなくなりましたし、検温も始まりました。局の関係者でも県外……とくに大都市から戻って来た人は自宅で2週間待機という通達が出ました。

 僕がコロナを意識したのはすごく早かったですよ。東京で感染者が出始めた頃(2月13日)かなあ。新型コロナって本当に恐ろしいウイルスだなと思いましたね。無症状期間が2週間ほどあって判断しにくい。症状が出ない場合もあれば重症化する場合もある。さらに再感染もある……それを聞いたとき「こんな汚い奴がいるのか!」と愕然としましたよ。コロナが生き残るのに超有利なルールばかりじゃないですか! まるで北米タッグ選手権ルールですよ。「反則裁定の場合、タイトル移動ナシ!」といった。こっちはもう「そんな馬鹿な!」ですよ。そこからは毎日、不安でいっぱいでしたね。変な話、どこか「自殺」という言葉が頭をよぎったと思います。コロナに感染して死ぬよりも自ら死を選んでしまう自分がいたらどうしよう、と。

 でもね、僕の番組のリスナーには高齢者の方や、日々の流通を途絶えさせないよう頑張っているドライバーの方もいらっしゃるので、あまり「怖い」「恐ろしい」ばかりは言えないだろう、そんな気持ちでいけない、と思い直して。それで3月アタマくらいかな? 自らを鼓舞してラジオで喋ったんです。「コロナに負けてたまるか! くたばれコノヤロウ!」って。……あれね、もしコロナに人格があったらきっと見透かされていますよ。「コイツ、虚勢を張ってやがる」って。もう、ありもしない勇気で喋っていましたから。でも、そこで腹をくくったというかスタンスが決まりましたね。ハッキリ言いますよ、僕よりコロナに怯えている人はいない! 放送界の怯えてるランキングがあれば僕はトップレベルだと思います。でもそれでいいんですよ。だってあのチャック・ノリス(アメリカのレジェンド的なアクション俳優)ですら自宅で自粛生活をしているかもしれないんですから。皆さんも、それを忘れないように!


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA6月号にて!


杉作J太郎
漫画家・俳優・映画監督・ライター・タレント・ラジオパーソナリティーとマルチに活躍。「男の墓場プロダクション」代表として制作した映画作品に『任侠秘録人間狩り』『怪奇!!幽霊スナック殴り込み!』(ともに2006年)。現在は吾妻ひでおの同名マンガを原作とした『チョコレート・デリンジャー』を鋭意製作中。