【BUBKA6月号】話題の著者に直撃取材! 第19回 橋本愛喜 『トラックドライバーにも言わせて』
ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第19回は、『トラックドライバーにも言わせて』の著者であり、自身もトラックドライバーだった橋本愛喜さんが登場。『トラック野郎』のドライバー像は、夢まぼろしの世界。規則と時間に縛られているリアルなトラックドライバーの姿を知ると、きっとあなたもドライバーたちに対してリスペクトの感情がこみあげてくるに違いない──。
写真=岡田佳那子
SAで待機する理由
――改めて橋本さんが、トラックドライバーになろうと思った経緯を教えてください。
橋本 大学卒業直前に、工場を経営する父が、くも膜下出血で倒れてしまいました。小さな工場ゆえ、父のワンマン経営だったこともあり、私が後を継ぐしかないと。とは言え、突然、私が社長として指揮を振ることに、やんちゃな方を含む父を慕っていた従業員は抵抗を覚えるかもしれない……、どんな行動をとれば彼らに納得してもらえるか考えた結果、私自身がトラックを運転する姿を見せれば、それなりに説得力が生まれるのではないかって。
――シンガーソングライターになりたいという夢をあきらめ、工場経営をしつつトラックを運転することになった。書籍の中では、実体験に基づいた橋本さんの視点が綴られています。今は運転はしていないんですよね?
橋本 運転したいところなのですが、大型トラックはプライベートでは乗れない(笑)。でも、お金を払えば復習できる教習所もあるので、腕が鈍らないように行ってみようかと考えています。せっかくなので大型二種――、バスの免許も取ってみようかなって。
――大型二種! トラックを運転できる橋本さんだからこそ現実味がある(笑)。本を読むと、まずトラックドライバーの待機時間が非常に多いことに驚かされました。せっかく急いで走ったのに、現場(付近)で待機しなければならない。
橋本 深夜割引のための待機などは最たる例ですね。0時〜4時の間に高速道路を走行した場合、高速料金が3割引きになります。その間に1秒でも走れば適用されるため、ドライバーは0時を過ぎたら高速を降りる……そのため23時台ともなれば、インターの出口で待機するわけです。逆に4時近くになると、高速に滑り込むトラックが増える。当然、出口と入口、双方の近くのSAやPA、公道はトラックで混雑します。
――しかも、少しでも安く抑えたいという会社側の意向がほとんどという。
橋本 そうです。さらには、「4時間走ったら30分休憩する」、「翌日の勤務まで休息時間を8時間取らねばならない」などのルールもあります。トラックには、走行距離を明示するタコメーターが備え付けられています。「ここは路駐禁止だからどいてくれ」と言われて他の場所に移動すると、タコメーターが反応する。結果、「休んでないじゃないか」と会社から諫められる。会社は、労働基準監督署からの調査があるため、ドライバーに規則を守らせたいわけです。
――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA6月号にて!
橋本愛喜
フリーライター。元工場経営者、日本語教師。大型自動車一種免許取得後、トラックで200社以上のモノづくりの現場を訪問。一度全てを中断し渡米。某日系テレビ局にて国連取材等の現場を経験したのち帰国。その後、再び工場を経営するも、廃業を機に再渡米。外国人駐在員向けのセミナーや国際映画祭の取材などに従事。現在は、ブルーカラーの労働環境問題、ジェンダー、災害対策、文化差異などを中心に執筆。各メディア出演や全国での講演活動も行う。
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