【BUBKA7月・8月合併号】話題の著者に直撃取材! 第20回 岡本健 『大学で学ぶゾンビ学』

ブブカがゲキ推しする“読んでほしい本”、その著者にインタビューする当企画。第20回は、『大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~』の著者である岡本健さんが登場。教鞭をとる近畿大学のゾンビ学は、履修希望者が多すぎて2回授業になったほど。なぜゾンビを扱うのか、なぜゾンビは受け入れられるのか。“都合の良い”存在だと分析するゾンビとは!?

アイドルとの親和性

――本書は、実際に岡本さんが近畿大学で行っている超人気講義をベースにした内容です。なぜゾンビをテーマにした講義を始めようと思ったのでしょうか?

岡本 少し話が長くなりますが、元をたどれば北海道大学で学んでいた時代までさかのぼります。認知心理学を専攻する一方で、中国文化の講義を受けていました。その内容は、香港武侠映画についての講義だったんです。最終レポートの課題は、自分の好きなカンフーアクション映画を一つ選んで、それについての分析を行うというものでした。レンタルビデオ屋に行ってカンフーアクション映画を借りてくるわけですが、その棚の近くにゾンビ系の映画がたくさん陳列されていたんですね。興味本位で手に取ってしまって、そこからハマってしまいました(笑)。

――それがゾンビとの出会いだったと(笑)。

岡本 大学院へ進学した時に、専門を変えて観光学について研究するようになりました。アニメの聖地巡礼という行動を対象にするようになりました。聖地巡礼について修士論文を書き、次は博士論文を書かなければという状況になります。博士論文ってものすごく長くて、書くのが大変なんです。それで、ちょっと疲れてしまって、気分転換にゾンビを観光の視点から考える『ツアー・オブ・ザ・リビングデッド』という論文を書いて現実逃避しました。

――タイトルからして面白そうです。どんな内容でしょうか?

岡本 〝人間を捕食する〞というゾンビの視点で考えると、彼らの行動は美味しい食べ物を求めて周遊するフードツーリズムに相当するのではないかと考えたんです。観光の種類の一つに「グルメツーリズム」というのがあります。これは、ある特定の食べ物を食べるために観光するもので、食への関心が非常に強い観光形態です。たとえば超高級なワインを飲むためだけにどこかに行くようなものです。とはいえ、食は、観光動機の一つとしてはあり得るけど、それだけのために、という人は比較的少ないです。一般的に食への関心がゆるくなっていくほど、観光客も増えていく傾向があります。そうすると、ゾンビの行動はどこに当てはまるのか? 食への関心は極大で、最初は人数の少ないところから増えていく。これは「ゾンビツーリズム」だと、こんなことを書いたわけですね。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA7月・8月合併号にて!


岡本健
近畿大学総合社会学部総合社会学科准教授。専門は観光社会学、コンテンツツーリズム学、ゾンビ学。北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院観光創造専攻博士後期課程修了。博士(観光学)。近畿大学の「現代文化論」、同志社女子大学の「メディア社会学」でゾンビ学を講義。近畿大学の2019年講義は履修希望者が多すぎて2回授業となったほど。著書に『巡礼ビジネス』『アニメ聖地巡礼の観光社会学』など。