【BUBKA9月号】ももいろクローバーZ ドキュメントレポート「ライブで生きる」4人の決断と覚悟!
今までと同じやり方は通用しない。ただ待っていても状況は好転しない。だったら新しい方法、新しい様式を作りこの戦いに挑むのみ。
そして、アイドルシーンにおいて確固たる存在であるからこそ、後に続く者たちのためにも先陣を切る以上は失敗することはできない。
大きな責任と覚悟を背負った、ももクロのライブへの挑戦は、どんな答えを出したのか?
写真/上飯坂一
徹底した対策
6月25日。
ももいろクローバーZは実に136日ぶりとなるライブのステージに立つこととなった。
この時点ではあくまでも「無観客ライブ」。その模様をGYAO!にて生配信することで全国のファンにもリアルタイムで楽しんでもらおう、という趣向だ。
ももクロについて、そんなに詳しくない読者もいるかと思うので説明しておくと、ももクロはかなり早い段階で、いわゆる接触イベントから撤退し、ライブステージに重きを置いた活動をしてきた。
だから4か月以上もライブがない、というのは結成から13年目にしてはじめての事態。当然、ファンも「早くライブが見たい!」という感情が高まってくるはずなのだが、ちょっと面白い現象も起きていた。
この無観客ライブが発表されたとき、マネージャーの川上アキラが「たとえばファンクラブ会員の方を若干名、エキストラとして会場にお呼びするのも面白いかも」的なことをつぶやいた。
普通に考えたら我も我も、と参戦希望者が殺到しそうなものだが、多くのファンは「川上さん、気持ちはうれしいけれど落ち着きましょう。今は無観客を徹底したほうがいい」と川上アキラを諫めたのだ。
この流れを知ったメンバーは「本当にモノノフさんは大人! ちょっと暴走しそうになるとこうやって正しい道に戻してくれるのはありがたいし、心強い」と口々に語っていた。
自分たちの「ライブが見たい!」という欲よりも、メンバーが感染しないように安全策をとってほしい、という方をチョイスするファンの存在。ライブを通じて築いてきた信頼関係はコロナ禍でも揺るがなかった。
このライブの1週間ほど前に、スタッフから一本の電話があった。「取材するためのパスは発行したんですけど、じつは会場に入るまでにいろいろな条件がありまして……もし、それが面倒だとか、ご負担になるようでしたら、生配信をご覧になるという形の取材でも大丈夫ですが、どうしますか?」
電話口の声はすごく恐縮していて「お手数をおかけします」を連呼していた。
すでにこの時点で「MSRS(ももクロ新リアルライブ世界秩序)」と銘打たれた、安全にライブを開催するためのガイドラインが一般にも公開されていた。15ページにも及ぶ詳細なルールは医療関係者の監修によって編まれたものなのだが、それはけっして「すべて」ではなく、あくまでも「最低ライン」。当日、会場に足を運ぶスタッフや関係者には、さらに細やかな条件がつけられていた。
別にそれぐらいは面倒だとは思わないし、withコロナと呼ばれる新しい時代の生活様式のひとつなのだから、受け入れるのは当然のこと。しかし、動いてみて、電話口の声がやたらと恐縮していた意味がすぐにわかった。だが、これから先、ライブをやっていく上で今は本当に大事な時期なので、これぐらいやって当然だ。
ほかにもいろいろと手続きがあったり、会場に入ったあとにも「ここまでやる?」と思うぐらい感染予防対策は徹底していた。「ここまでやる?」ではなく「ここまでやる!」という気持ちでいないと、たしかに安全は確保できない。
ーーレポートの続きは絶賛発売中のBUBUKA9月号にて!
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