【BUBKA12月号】座談会連載 アイドルのへそ「アイドルの広告価値」
アイドル自身が「個の力」を磨きあげれば、企業とも堂々と渡り合えることを証明してみせたNMB48吉田朱里が卒業する。
生き残るためには、それぞれがマーケティング能力を身につける必要がある時代なのかもしれない。広告業界からみて価値のあるアイドルとは―――?
写真=©乃木坂46LLC
企業が見る数字
――大山さん、お久しぶりです!
大山 いやいやどうしたのよ? しばらく顔見せなかったけどさ。
――ここ2年ぐらい別の雑誌をメインで担当してたんですけど、編集部内の体制の変更もあったりで最近戻ってきたんですよ。
大山 あぁ、少し耳にはさみましたよ。乃木坂46の企画とかも受け持つことになったんでしょ? あのSKE48といえばのゾンビーノがさ(笑)。同じアイドルグループとはいえ、全くの別モノじゃないですか。
―― そうですね(笑)。なので試行錯誤はしているんですけど、戻ってきたタイミングがまさにコロナ禍で、アイドルの状況も一変して。で、その中でもすごく影響を受けたひとつに広告関係があると思うんですけど、大山さんは広告業界にも精通してらっしゃるじゃないですか。そのあたり、どうなのかなと思って。企業が広告費を減らしていく中で、アイドルにも影響があるのかとか……ざっくりしてて申し訳ないんですけど。
大山 はっきり言って、価値観が完全に変わる時代に突入したよね。バブル崩壊前の話をちょっとしてもいい?
――いきなりめちゃくちゃさかのぼりますね(笑)。
大山 その当時ってさ、たとえば松任谷由実さんなんかは、毎年11月にアルバムを出していたわけだけど、eコマースなんかない時代だから店頭販売のみが当たり前とはいえ、200万枚とか売れていたのよ。そのアルバムの発売ツアーとかで全国をまわって30万人動員する。そこに、広告代理店はKIRINの案件とコラボさせたりとかしてさ、まぁとにかくとんでもないお金が動いて、景気のいい話があちこちにあったわけだ。そんな絶頂期の松任谷さんが、どこかの雑誌のインタビューで「こういう状況っていつまで続くと思いますか?」って聞かれてこう答えていた。「私が売れなくなるとしたら、日本でありえないことが起こった時かな。銀行が潰れるとか商社が潰れるとか」ってね。その後はみんなが知ってる通り、バブルが崩壊して銀行も商社もバタバタ倒産して、それまでのシステムが瓦解したわけだ。今はそういう状況だと思いますよ。
――やっぱりそのレベルですよね。
大山 そりゃそうよ。で、広告の話をすると、これまでどのメディアに一番広告費が使われていたかといえば、当然それはテレビ広告。やっぱり単価が高いから、1クールで何千万、ヘタしたら何億っていうお金が動く。でも、ついに去年SNSやYouTubeを中心としたインターネットへの広告費が上回ったんだよね。その流れは今年、コロナ禍を経てさらに加速していくと思う。つまり、いまや企業や代理店がどういった広告を打つかって考える時にまず頭に浮かぶのは、インフルエンサーマーケティングですよ。どれだけフォロワーがいるか、どれだけの発信力と影響力を持っているのか。そこを見て企業も数値目標を立てる。特設サイトを作ったとして、どれだけフォロワーが増えるかとか、いいねがもらえるかとか。それを呼び込めるタレントというのが、やっぱり重用されるんだよね。
――座談会の続きは絶賛発売中のBUBKA12月号にて!
大山さん(仮名)
本誌に何度か登場したこともあるエンターテインメント事情に明るい謎の紳士。広告業界にも精通している。
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