【BUBKA2月号】 輝け!BUBKAアワード2020-2021 吉田豪

しんどい時代だからこそ観るべき配信イベント

いかに踏み込むか

 2020年はやっぱりコロナの影響で配信イベントの数が一気に増えましたね。ボクの出る配信も増えたから、自分が稼いだ分を課金して、他の人の配信をものすごく観た一年でした。基本、仕事をしながらラジオ感覚で視聴するんですけど、それこそ営業できなくなった新宿2丁目のゲイバーのトーク配信とか、コメントを書いているのが2人ぐらいの誰も見ていない配信とか、ハードコアパンクの人たちが過去の犯罪についても話したりする配信とか、いろんなものに課金して。普段観ない映画のイベントとかも観たら、ディテールは正確でもトークがつまらない評論家がいるんですよ。やっぱり町山(智浩)さんはディテールにミスがあっても面白く話す能力が突出しているし、春日(太一)さんはそのバランスが取れている。そして、ヒドいものを観ると「よし! これならまだボクは大丈夫だ!」って自信が持てる。物書きでも喋る能力が重要な時代になって、ただ真面目で、特定のジャンルに詳しいだけじゃ食っていけない時代になったんだなーって改めて感じました。

 あと、配信だとキャパ関係なくやれるっていうことが本当に大きくて。毎年ロフトプラスワンで5月3日に昼夕方夜とやってる『豪さんの日』なんかは例年だとMax180人の規模なのに、無観客配信の今年は3部合わせて2000人超えで。編集者しか出ないから一番数字が伸びなかった『紙のプロレス同窓会』も、アーカイブ配信がすごく伸びたんですよね。守るものがないゲストが、誰に脅されて誰に土下座したかみたいな「当事者が観てたらアウト!」な話をしてるだけなんだけど、それがSNSで話題になって。評判が良ければ後からアーカイブが売れるようになったのも大きいです。好評だったから再配信したいって言われたけど、物騒すぎるから出演者のNGが出て話はなくなりました。配信って、もちろん話す内容には気を遣うけど、「配信だから」ってことでストップをかけるのが一番良くない。共演者と視聴者に対して、「信用してるからね! その上で一歩踏み込むよ!」っていう信頼関係を作るのが大事。それができてない配信も多かったですね。踏み込んでるっていう意味では、能町みね子さんと高橋ユキさんがいろんな事件について語る配信とか面白かったですよ。


ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA2月号にて!


よしだ・ごう 
1970年生まれ。本誌でもおなじみのプロインタビュアー/プロ書評家/コラムニスト。毎週火曜日に『猫舌SHOWROOM』にて、アイドル・芸人・ミュージシャンなど幅広いゲストを招いた『豪の部屋』を配信中。