【BUBKA2月号】 エンターテインメントの行方 #05 角田陽一郎
ソーシャルディスタンス、リモート、フルフレックス……コロナが日本社会に与えた変化は枚挙にいとまがない。では、エンタメの現場はどうだろうか? 当企画では、さまざまなエンタメの識者に〝ウィズコロナのエンタメ〞がどう変わりつつあるかを取材。今回は、TBS退局後も第一線でバラエティプロデューサーとして活躍する角田陽一郎氏に、テレビの立ち位置と、五感を使うコロナ時代のコンテンツの在り方を聞いた。
関係性の変化
――角田さんは、元々『中居正広の金曜日のスマたちへ』などを手掛けるTBSのプロデューサーでした。コロナによってテレビの世界にも変化があったと思うのですが、いかがでしょう?
角田 最近仕入れた情報によると、テレビは調子がいいらしいです。というのも、CM、とりわけスポットCM(※番組に関係なくテレビ局が定める時間に挿入されるCM枠のこと)の単価が下がったことで、企業が買いにきていると。ネットでお金をかけて広告を打つよりも、テレビでCMを流す方がやはり効率も効果も高い。今までは高くて手を出せなかったけど、テレビの広告枠のドン・キホーテ化が進んだことで、「これだけ安くなったんだったら買おうか」という企業が増えている。結果、調子がいいと。ドン・キホーテどころか100均化と言ってもいいかもしれない(笑)。大企業じゃなくても、テレビの広告枠をキャンドゥーできるようになっている一方で、単価が下がっているという現実が、この後テレビ業界にどういう影響を及ぼすか……。僕自身は、コロナ以前から危機感を覚えていたため退社したわけですが、コロナって加速度的にさまざまなものを変化させているじゃないですか?
――あれだけ頑なにハンコにこだわっていたのに、河野大臣が脱ハンコを押し出したり。目まぐるしく変わっていますね。
角田 そうそう。僕がコロナの中で体感していることは、〝一見さん〞に厳しい現状だなということ。現在、僕は東京大学大学院で文化資源学を研究しているのですが、2年生だからオンライン講義に対して忌避感がない。でも、1年生は友人や先生に会ったことがない、言わば人脈ゼロの状況で始めなければいけない。これって、独立して何年か経っているフリーランスと、フリーランス1年生にも似たようなことが言えると思うんですね。新しい仕事を獲得することが難しくて、既得の仕事を持っている人は生きていける――ということが顕著になった。音楽の世界でも、サザンオールスターズがライブ配信をすると告知したら、大勢の人が集まったけど、一方でデビューしたばかりの新人バンドはそうはいかない。それに対して、若者たちが「結局、既得権益じゃん」と怒るのも美しい世界だとは思うんですけど、実際問題としてあらゆる業界がそういった状況になりつつある。
ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA2月号にて!
YOICHIRO KAKUTA
1970年千葉県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。TBSテレビに入社後、『さんまの スーパーからくりTV』でディレクターに昇格。チーフディレクターとして『中居正広の金曜日のスマたちへ』を立ち上げるなど、数多くのバラエティ番組の制作を担当。16年にTBSテレビを退社し、現在はバラエティプロデューサーとして、多種多様なメディアビジネスをプロデュースする。19年4月からは東京大学大学院に入学し、文化資源学を研究。『最速で身につく日本史』(アスコム)『天才になる方法本当に「頭がいい」とはどういうことだろう?』(大和出版)『読書をプロデュース』(秀和システム)など著書多数。
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