【BUBKA3月号】なんてったってキヨハラ 第6回「新人類」

 ベスト・オブ・ザ・ベストの若者達が、愛と青春の全てを賭けて遥かな大空へ飛び立つ!


 これは村西とおる監督作品『スカイファック』のビデオパッケージ裏説明文ではなく、1986年(昭和61年)12月6日に日本公開された、当時24歳のトム・クルーズ主演映画『トップガン』の宣伝コピーである。同日、西武ライオンズの清原和博は選手会主催のリレー・マラソンに顔を出すため、名古屋の名城公園にいた。オフに入ると東京で200件を超える取材をこなし、5日午前には大阪で大阪府知事賞の贈呈式に出席。超多忙なスケジュールでの名古屋入りだったが、すかさず地元・愛知出身の工藤公康が「すまんがちょっと頼むわ」と40枚ほどの色紙を持ってくる。工藤の知り合いたちがこぞって清原のサインを欲しがったためだ。8日夜には東京プリンスホテルで西武ライオンズの納会。堤義明オーナーからオーナー賞として金一封が贈られ、内容はヒミツだったが、新聞記者から「パーッと使おうじゃないの」とからかわれると、キヨマーは真顔で「そんな、百万円なんてひと晩じゃ使いきれないですよ」なんつって思いっきり金額を口にしてしまい一同爆笑。文字通りバラ色のオフの様子を『週刊現代』が「大阪凱旋大フィーバーの一部始終」と密着リポートで追っている。


「清原和博『昼の日記 夜の日記』」ではPL時代のチームメイトに直撃インタビュー。「清原のサイズ? アハハハ、そう、一緒に風呂に入ったことありますけど、そんなんいうたら、清原に逆襲されますがな。オレたち、プライバシーについては、お互いにいわんように約束したんです」って遠慮なく野球じゃなくチンチンのデカさを直撃してるじゃねえか! というのは置いといて時計の針を少し戻すと、『スケバン刑事Ⅱ』でトップアイドルに躍り出た南野陽子のシングルレコード『接近(アプローチ)』が発売された10月、ペナントレースで高卒新人最多記録の31本塁打を放ったワンダーボーイは、実りの秋の日本シリーズで「ホンモノの4番打者」となった。

 リーグ優勝を決めた10月9日夜の祝勝会は、未成年だったがチームメイトからもみくちゃにされ、「ビールは飲んでませんよ」と前置きしつつ、泡まみれのまま「ビールは体で飲みました」なんてしっかり見出しになる名言を残す。一方で、先輩たちがその勢いのまま夜の街に消える中、翌日のシーズン最終戦にルーキー新記録の32号アーチが懸かっていたキヨマーは、早めに寝て明日に備えるためひとり合宿所へ戻る。


ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA3月号にて!


なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)
1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。主な著書に『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)、『令和の巨人軍』(新潮新書)などがある。