【BUBKA4月号】新連載! アイドルクリエイターズファイル #2 佐々木喫茶

『宇多丸のマブ論』が本誌で開始されたのが2000年。それから21年が経った現在、アイドルソング“的”な楽曲のクオリティは当時と比較するのもはばかられるほど上がった。先月行われた『マブ論年間ベスト15』に選ばれた曲はもっと評価されるべきだし、楽曲派という言葉が死語になる前に伝えることがある!ということで始まった当連載。今月はまず年間ベストで1位~3位に選ばれたクリエイターたちに話を聞いてみた。

楽曲提供の呪縛

――宇多丸さんの選ぶ『マブ論』の2020ベスト15で第2位選ばれた『フォーリンラブfeat.戦慄かなの』についてうかがいたいと思います。楽曲提供という形ではなく、ご自身の名義でリリースしようと思い立ったのは何かきっかけがあったのでしょうか。

佐々木 2018年ぐらいまで地下アイドルに曲を書いて、自分なりに頑張ってやってたんですけど、結構落ちていて。

――精神的に。

佐々木 どれもいまいちスパーンといかないというか。それで自信もなくしてたんです。転機があったのは、Vtuberのピンキーポップヘップバーンさんという人から依頼があって。その人は今までと違って、もともと人気があるかたで、曲を書いたらYouTuberの反応がすごくよかったんです。一気に何十万再生とかいって、今では100万再生とかいきそうで。どの曲も同じぐらい力入れて作ってるし、全部大事な曲なので言い方が難しいんですけど……人気のある人に書いたらちゃんと聴いてもらえて、俺の曲、まだ全然よかったんだっていう気持ちがちょっと出て(笑)。

――地下アイドルに曲を書いても、ライブに行かないと聴けないことも多いし、すぐに解散したりもするし……となると、広がりを感じにくい側面もありますよね。そんな折、違うジャンルの人に提供したらリアクションがすごくあった、と。

佐々木 お客さんも違ったんです。反応がすごく若い。こんなに若い人たちに面白いと思って聴いてもらえるんだなっていうのが自信になりました。

――それが戦慄さんをフィーチャーすることに繋がっていく?

佐々木 実は戦慄さんがZOCに入ってから全く連絡を取ってなくて。僕の中では遠い人になっちゃったなっていう感覚だったんですけど、あるとき「次のファム(femme fatale)の曲書いてください」と言われて、またちょこちょこ連絡を取り合うようになったんです。で、3〜4年前のコンペに落ちてそのままだった曲が『フォーリンラブ』なんですけど、いい曲だから復活させたいな、誰か歌ってくんないかなって思ってた時に「あ、いる」と。たまたまなんですけど、ビジネス的じゃなくノリでやってくれる人だし、人気もあるので(笑)。『フォーリンラブ』は、今までいろいろ考えてたものを取っ払って、できるだけシンプルに自分がやりたいからやる、ということを1回やってみたって感じです。


ーーインタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA4月号にて!


佐々木喫茶
シンセパンクバンド・レコライドのリーダー。多数のアイドルやアーティストへの楽曲提供、エンジニアをおこなう。最近では、個人名義でフィーチャリング企画もおこなっている。