【BUBKA5月号】伊賀大介(スタイリスト)×中溝康隆(プロ野球死亡遊戯) 「ジャイアンツは、真の〝巨人〟を倒せるのか?」

2年連続日本シリーズ4連敗。投手力に差があるとか、攻撃力が劣っていたとか、そんな議論すら生ませないソフトバンクによる遠慮のない蹂躙は、リーグ連覇の喜びをかき消して、ジャイアンツとタツノリに大きな宿題を課した。プロ野球の歴史上、最も洗練されたチームを倒すためには、何が必要なのか? 本誌おなじみの巨人ファンコンビに問いかける。

ヒクソンに敗れて

――先月号では「桑田真澄という底知れぬ男が還ってきた」というテーマで語ってもらいましたが、今月はいよいよ本題の「2021年のジャイアンツ」について話して頂こうと思います。そうなると、まず触れておかなければならないのは、去年の秋の日本シリーズについてですよね。

中溝 去年、一昨年と2年連続で伊賀さんと日本シリーズを観に行く約束をしていたんですけど、どちらも1回も勝てずに4連敗で、一緒に観に行くことができなかった。特に去年は4試合で楽しめた時間は正味15分くらいでしたね。現地のソフトバンクファンがジャイアンツの選手に対して唯一「おぉー!」って歓声を上げたのが、(チアゴ・)ビエイラの164キロだけ。他はもう舐められている、安心しきられているような感じでした。一昨年よりも力の差が開いているような気がして、正直去年の4連敗はショックが大きかったです。

伊賀 あと、ショックだったのが、去年はソフトバンクの中でも中ボスにやられた感じでしたよね。柳田(悠岐)、千賀(滉大)、甲斐(拓也)とか大ボスが出てくる前の、栗原(陵矢)とか(マット・)ムーアとかの「下弦の月」にやられた感じ(笑)。

中溝 髙田延彦がヒクソン・グレイシーに負けたときと全く同じ気分でしたね。ちょっとステージが違ったなぁって。第一ラウンドの早い段階で、「これは勝てねえな」って思わせられた。ただ、日本シリーズ2年連続4連敗も事実ですけど、ペナントレース連覇も事実なんで。(高橋)由伸政権の頃を考えると、それも十分すごいことだし、そこに心の拠り所を持っていかないといけないですよね。

――変な話ですけど、ソフトバンクを倒しちゃったら、もう原ジャイアンツでやることないよねって話になるじゃないですか。「2021年の楽しみが残ったな」みたいな安心感はあったりしましたか?

中溝 そうですね。今だから言えることだけど、タツノリファンの視点から見れば、タツノリ政権の第三章が完結しなかったことは、悪くなかったのかも。だから、例えば今年も3勝4敗とかの方がまだ盛り上がる(笑)。

伊賀 まだ引っ張る(笑)。


――インタビューの続きは絶賛発売中のBUBKA5月号にて!


いが・だいすけ
1977年、東京都生まれ。22歳でスタイリストとしての活動を開始。映画『ジョゼと虎と魚たち』『モテキ』『バクマン。』『ハード・コア』『おおかみこどもの雨と雪』『宮本から君へ』などの作品を始め、演劇、広告、ミュージシャンなど幅広く活動中。また、音楽や映画、印刷物にも造詣が深いことでも知られる。WEB連載『文春野球コラム ペナントレース2020』の巨人担当としてコラムの執筆も行っていた。

なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)

1979年、埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライター兼デザイナー。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレース2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)、初の娯楽小説『ボス、俺を使ってくれないか?』(白泉社)、『原辰徳に憧れて-ビッグベイビーズのタツノリ30年愛-』(白夜書房)など著書多数。『令和の巨人軍』(新潮新書)が好評発売中!