【BUBKA 12月号】宇野維正(音楽ジャーナリスト)インタビュー『欅坂46はいま何をすべきか』

CDの売れないこの時代に、次に100万枚を売るのは誰か?

おそらく多くの人が欅坂46の名前を思い浮かべるはずだ。

だからこそ彼女たちが、この時代に風穴を空ける存在であることを期待をしたくなる。

日本で生まれた独自のカルチャーが、次に目指すべきはどこなのか? 

「本物」を知る音楽ジャーナリストが、欅坂46の未来のために提言する。


線で繋げてほしい


――宇野さんが欅坂46に興味を持つきっかけは何だったんですか?

宇野 自分がツイッターでフォローしてるのは、海外の情報サイトや知り合いのミュージシャンのほか、海外ドラマや今のラップが好きな、いわゆる文化的感度の高い人たちなんですけど。そういう人たちのタイムラインを眺めてると、本当に欅坂46の名前がよく出てくるんですよ。普通に『ストレンジャー・シングス』を見て、チャンス・ザ・ラッパーを聴いて、欅坂46も聴きます、っていう。

――その3つが同列なんですね。

宇野 まあ、気になってきますよね。で、一度生で見ようと思って、仕事で行ってた去年の年末のフェスで、欅坂46のライブを初めて見てみたんですよ。で、普通にアガった(笑)。これまでの秋元康がやってきたアイドルグループとは明確に違うものなんだな、というのがよくわかりました。

――宇野さんのまわりで欅坂46に反応したアンテナの高い人たちは、どんなところに惹かれているのでしょうか?

宇野 やっぱり、楽曲やビデオのコンセプトの新しさに反応してるんじゃないですか?

――昔からアイドルが好きだった人ではない?

宇野 どうだろう。少なくとも数年前、AKB48が全盛期だった頃によく話題にしていた人たちとは違う層って感じがしますね。あと、Perfumeやももクロが好きな層ともちょっと違って、むしろもっと尖ってる層かも。

――あのときにAKB48が苦手だった人たちが地下アイドルにハマって、その人たちが地上に戻ってきて欅坂46を応援している、という話もあります。

宇野 なるほどね。まぁでも、AKB48が苦手だからって、別に地下アイドルに一度行かなくてもいいような気もするけど(笑)。

――音楽的にはいかがですか?

宇野 まだライブを初めて見る前、『二人セゾン』がリリースされた時は「おーっ!」って思いましたよ。単純にべらぼうにいい曲じゃないですか。

――『二人セゾン』のどんなところがいいと思いましたか?

宇野 あの歌謡曲的なストリングスの編曲の気持ち良さは筒美京平ですよね。秋元康は全盛期80年代の筒美京平とも共作曲をいくつか残しているわけですけど、その時代のどんな曲よりも筒美京平っぽいって思いました。だから、やっぱりノスタルジーの世界ですよね。48グループも46グループも、結局いい曲はほとんど過去に明確な参照元がある曲という印象です。で、そうじゃない曲は退屈。そして、全体的に音楽で新しさを追求してる感じはまったくしない。

――新しさを感じる曲はないですか?

宇野 うーん。欅坂46のアルバム収録曲でいうと『誰よりも高く跳べ!』とかは好きですけどね。

――あれは、ひらがなの「けやき」の曲です。

宇野 もうね、その違いがよくわかってない。こんな自分が欅坂46について話して、本当に企画が成り立つんですか?(笑)知り合いのミュージシャンにも欅坂46のファンは多くて、このあいだも凛として時雨のピエール中野さんに「欅坂46」と「けやき坂46」の違いをレクチャーしてもらったんですけど、頭の中に全然入ってこなかった(笑)。でも、『誰よりも高く跳べ!』のフュージョン系のジャズファンク感はSMAPっぽいですよね。ああいう曲がもっとたくさんあったら楽しいのに。


―― インタビュー続きは絶賛発売中のBUBKA 12月号にて!


宇野維正
うの・これまさ●1970年、東京生まれ。『ROCKIN'ON JAPAN』『CUT』『MUSICA』などの編集を経てフリーの音楽・映画ジャーナリストとして活動。現在はリアルサウンド映画部主筆。著書は『1998年の宇多田ヒカル』『くるりのこと』(ともに新潮社)。新刊『小沢健二の帰還』(岩波書店)が11月に発売予定。