【BUBKA 3月号】ももいろクローバーZ密着ドキュメントレポート2017- 2018『誰も知らない旅立ちの予兆』

はたしてそれは青天の霹靂だったのか。

本人達による証言の前に、直前の動向と感情の機微を一度整理し綴る必要がある。

年の瀬に行われ、大団円を迎えた2つのビッグマッチ。

そこにはやがて線となる点が散りばめられていた。


5人の「地力」


 時計の針を一旦、2017年12月に戻そう。

 これはまだ誰もがももいろクローバーZがずっと「5人」で活動しつづけていくものだと思って疑わなかった日々の物語である。

 例年、クリスマス当日前後に開催されてきた『ももいろクリスマス』だったが、この年は2週間ほど前倒しされ、さらにさいたまスーパーアリーナと大阪城ホールの2会場での分離開催。なにからなにまで異例づくしのももクリとなった。

 開催に先立って、公式パンフレットに掲載するための個別インタビューを収録した。

 毎度のことだが印刷工程の都合で、パンフレットのインタビューはかなり早いタイミングで強行しなくてはいけない。セットリストはおろか、全体のコンセプトすら決まっていない段階での取材になるから、メンバーもなかなか話しにくい。

 ただ、今回に関しては前述したように異例ずくめだったので、しゃべるテーマには困らない。大阪では初開催になるので、ももクリを生で楽しむためのガイドライン的な話も組みこんでいったら取材はとてもスムーズに進んでいった。

 ところが有安杏果だけは、様子が違った。

 彼女は公式パンフレット用のインタビューがあまり得意ではなかった。すでに会場入りしたお客さんが客席で読んでいることをイメージしてしまうと、もうお客さんへの感謝の言葉しか出てこなくなってしまうからだ。これだと、どの年のどのイベントのパンフでも似通った内容になってしまうので、毎回、質問に工夫を加える必要があった。

 だが、突然、有安杏果は7年前の話を持ち出してきた。最初のももクリ……2010年に日本青年館で開催された、ももクロにとって初のホールコンサートの話だ。


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