【BUBKA 12月号】渡辺淳之介×吉田豪×ロマン優光 対談「農業アイドル」の事件から考えるこれからのアイドル運営

農業アイドルの自殺報道から、是非が問われている地下アイドルの運営。

パワハラ、法外な契約書、劣悪な労働時間。

業界の闇が毎日のようにネット上で告白されているいま、改めてアイドル運営の“実態”はいかなるものなのだろうか?

この件について話したいことが山ほどある、渡辺淳之介、吉田豪、ロマン優光が集まり語り尽くす。

写真提供/WACK

罰則の理由

――今回は「農業アイドル」の事件を通して、これからのアイドル運営についてお話できればと思うのですが。

渡辺 ……大丈夫ですか? うちの子たちは吉田さんにDMしてません?

吉田 ダハハハハ。元メンバー含めて(笑)。

優光 ああ、ワッキー(ワキサカユリカ)とかから(無表情で)。

渡辺 いや、本当に怖くて。かなり過去まで遡られるじゃないですか。そもそも7年前とか覚えてないし。

吉田 そうなんですよね。ぶっちゃけ旧BiSがどうだったか?って話になったらアウトじゃないですか。

渡辺 アウトだし、あの頃はメンバーや親にも「基本的に僕のプロジェクトなので、利益が出るまで給料は払えないです」という話を先にしたんですよ。で、納得してもらった上で仕事をする。契約書なんて交わしてないし、交通費すら出してませんでした。

吉田 契約書がないところって、実は多いですよね。

渡辺 逆に言うと、1年くらい専属のように動いていれば、契約書を交わそうが何をしようが社会的な通念に従って、契約関係にあったという状況にはなる。

優光 雇用実態ができるということですね。

渡辺 とはいえ結構難しい問題で、基本的に彼女たちは雇用じゃなくて個人事業主扱い。だから、いくら働かせようが最低賃金の話にはならないんですよね。成果報酬なので労働じゃないんですよ。

吉田 実は労働基準法は関係ないと言いますよね。「18歳未満は夜10時以降に出演禁止」とかも実は関係なかったりする。

渡辺 なんか難しいところなんですけど、それも時代によってどんどん移り変わっていくんですよね。今は専属契約が独禁法に当たるんじゃないかっていうところで、実はかなり事務所が弱い。だから、うちも改めて覚書を弁護士と相談し、書き直しました。まあ、結局事務所だけが悪者になりやすい時代なんですよね。例えばスキャンダルとかもそうなんですけど、損害賠償って基本的には対会社でやるんで。例えばうちのメンバーが何かやってしまってCM切られました。それで「違約金は一千万です」となった時に、会社に請求されるんですよ。会社は払わざるをえないんですけど、例えばこの一千万をメンバーに請求できるのか?っていうと、恐らく係争になる。基本的には会社が監督不行き届きになるんですけど、どう考えても悪いのはスキャンダルを起こした側じゃないですか(笑)。他のメンバーたちも共倒れするし。今はそこをどうにかする必死の策として、別の覚書で一回盛り込んでいくしかないっていう。


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ろまん・ゆうこう……ロマンポルシェ。のディレイ担当。地下アイドルシーンにも造詣が深く、BiSについては「ブッチニュース」連載で言及することも。

わたなべ・じゅんのすけ……BiSの“過激”なプロデュースで業界に革命を起こし、その後、BiSHというカリスマを作り上げた株式会社WACKの代表取締役。

よしだ・ごう……本誌でもおなじみのプロインタビュアー・吉田豪。Twitterで地下アイドルの告発DMが絶えない。今月号はまさかの5テーマで登場。