【BUBKA 1月号】 アリVS猪木、天心VSメイウェザー 宮戸優光が語る「異種格闘技戦」の意義
今年の大晦日に開催される「RIZIN」、キックボクシング界のヒ―ロ―・那須川天心とボクシング元5階級制覇王者フロイド・メイウェザ―の試合でヒ―トする「異種格闘技戦」。古くはアントニオ猪木vsモハメッド・アリなど、違うジャンルのもの同士がリングで交える姿には熱くさせられること必至である。
今回はこの他流試合の魅力とは何か? 日本におけるもう一つの世紀の一戦、髙田延彦vsトレバ―・バ―ビックを仕掛けた宮戸優光に話を聞いてきた。
1991年12月22日に東京・両国国技館で開催された「格闘技世界一決定戦」での髙田延彦 vs トレバー・バービック戦。1R2分52秒で髙田のローキックで戦意喪失し、バービックはリングを降り、髙田の勝利に。(写真提供=平工幸雄)
キリストvsブッダ
――大晦日のRIZINで、”キック界の神童″那須川天心と、ボクシング世界5階級王者のフロイド・メイウェザ―の対戦という超ビッグカ―ドが発表されたわけですけど。そのわずか3日後に、メイウェザ―側から一方的に「中止」の声明が出されて。あらためてボクシング界の超大物を引っ張り出すことの難しさを感じると同時に、76年にアントニオ猪木vsモハメド・アリ戦が実現したのは奇跡的なことだったんだなと思ったんですが、宮戸さんはいかがですか?
宮戸 いや、その試合と猪木vsアリ戦というのは、ちょっと比べられないでしょう。76年当時、モハメド・アリは現役の世界ヘビ―級チャンピオンで、ボクシング界の王者の中の王者。ボクシング界を超えた、それこそ20世紀の偉人ですからね。そしてその対角線上には、日本のプロレスというジャンルにおけるス―パ―スタ―だったアントニオ猪木さんが立っていたわけだから。先ほど言われた「そんな試合がよく実現したな」というのは、まさにそのとおりですけどね。
――メイウェザ―は「3分3ラウンド、ボクシングのエキシビションだと思っていた」みたいなことを言ってますけど。あのアリが、東洋人のプロレスラ―と、ボクシングではない異種格闘技戦でリアルファイトを闘ったわけですからね。
宮戸 アメリカでも「フィストorツイスト」と言って、ボクシングとレスリングのどっちが強いんだっていうのは、古くからひとつのファンの好奇心としてあって、実際に試合も行われていたんですよ。
――20世紀初頭、いわゆる"ガス灯時代”のミックスドマッチ(異種格闘技戦)ですね。
宮戸 でもそれを闘ったのが、現役の世界ヘビ―級王者で、歴史的な人物であるモハメド・アリであり、その対戦相手を務めたのが、東洋のジャンルも違う猪木会長であったというね。これはもう、ちょっと比較にならないと思うんですよ。
――それはスケ―ルの面で?
宮戸 スケ―ルはもちろん、というか深い意味でね。アリと猪木会長という、その人物以前に、まずボクシングもレスリングも共に数千年単位の歴史を持ったものですよね。数千年を経てもなお、淘汰されずに今に残ってきたもので、今なお続くジャンルなんてそうそうないものです。そのボクシングの歴史の中で、モハメド・アリという人は、間違いなくス―パ―スタ―ですよね。
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みやと・ゆうこう
1963年6月4日、神奈川県出身。佐山サトルの「ス―パ―タイガ―ジム」でインストラクタ―を経て、第一次UWFでプロレスデビュ―。第二次UWFの旗揚げにも参加し、解散後はUWFインタ―ナショナルの旗揚げに参加。「Uインタ―の頭脳」として団体を舵取りしていた。99年から「スネ―クピットジャパン」を設立。
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