【BUBKA 1月号】中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)が新連載! 愛と幻想の原辰徳 第1回「巨人軍をぶっ壊す辰徳劇場」

元ファンからコラム日本一に輝いた最強野球ライター

中溝康隆(プロ野球死亡遊戯)が書き綴る「2019年の若大将」

「俺は恋ちゃんは好きだよ。でも、あの姿は嫌いだ」

 一応断っておくと、俺が浅草橋の熟女パブで囁いた台詞ではない。3年ぶりに巨人監督に復帰した原辰徳が、期待の若手選手・和田恋(コイと書いてレンと読む)に秋季キャンプの練習中にかけた言葉である。この上司と部下の関係性が話題になるご時世、昭和の価値観が色濃く残るスポ―ツ界でもパワハラ監督はブレない。セクハラやパワハラなんて次元の低い話じゃない。これは良くも悪くも原辰徳ハラスメント、略して「ハラハラ」だ。ちなみに内野手として入団した和田は高卒1年目のシ―ズンが終わった直後に、原監督からまったく経験のない捕手転向という無茶苦茶な提案をされ、しばらく練習はしたもののさすがに断った過去がある。まるで営業マンで入社したら、未経験のデザイナーやってくださいレベルの無茶ぶりだ。すんませんフォトショップの使い方分からねぇよ的なキャッチャーミット持ってないっすよレベルのコンバート案。人事部というか、スカウトの立ち場なし。恐るべしタツノリ。この嵐を呼ぶ男にくだらない常識は通用しない。

 なんだかんだスポーツ新聞はこの「ハラハラ」が大好きだ。前任者のクールな高橋由伸監督にはなかった半端ないハラハラ感。現代の社会的常識のギリギリをつく、ネタになる言動の数々。1123日ぶりの東京ドームでの采配となった日米野球エキシビションゲームでは、MLBオールスターのベースコーチを務める松井秀喜について、「ゴジ? 三塁(コーチ)は難しいな。一塁だったら『こっち戻ってこい』って」とマスコミが喜びそうな言葉をしっかり残す。マジあざといぜ……。最近、朝起きてスポーツ報知の原監督コメントを読むのが楽しみだ。秋季キャンプの紅白戦でルーキーキャッチャー大城卓三に一塁を守らせたことを聞かれた際には、「東海大学は器用だから」とサクッとひと言。学閥上等、下手したら気まずくなる大学の後輩ネタを自らイジってみせる懐の深さを見せ、かと思えば故障離脱した選手については「怪我はやっぱり職場放棄。社会人として一番のご法度」なんてぶちかます。


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なかみぞ・やすたか(プロ野球死亡遊戯)
1979年埼玉県生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。ライタ―兼デザイナ―。2010年10月より開設したブログ『プロ野球死亡遊戯』は 現役選手の間でも話題に。『文春野球コラムペナントレ―ス2017』では巨人担当として初代日本一に輝いた。ベストコラム集『プロ野球死亡遊戯』(文春文庫)が好評発売中!