【BUBKA 8月号】吉田豪のレジェンド漫画家編 BUBKA流 スーパースター列伝 vol.24 「甘い生活」弓月光

『みんなあげちゃう♡』『甘い生活』などのお色気要素のあるコメディで、多くの読者をドキドキさせながら楽しませている弓月光。

2018 年に画業50 周年を迎えた弓月に吉田豪が直撃インタビュー! 長年にわたってバリバリ漫画家として活躍し続けながら、まったく巨匠っぽくないヒョウヒョウとした人柄をご堪能あれ!

自分の趣味はあくまで

適度に入れる程度

――弓月先生が今年で70歳で漫画家人生50年になるという事実に、本気で驚きました!

弓月 画業50年ですけど、ホントは足かけ52年ぐらいで。デビューが18歳ですから。

――衝撃ですよ、この重鎮感のなさ(笑)。

弓月 そうそう、重鎮感ないでしょ(笑)。自分としてはワンパターンの漫画をずっと描いてきてるだけで、それがある程度ウケてるならそれでいいやと思って。さしてメディアに出るわけでもないし、アニメ化されたのも『みんなあげちゃう♡』ぐらいしかないしね。

――ちょうど画業50年でいろんなインタビューを受けてましたけど、徹底して軽くて気持ちいいぐらいだったんで、これはちゃんとお話を聞かなければと思ったんですよね。

弓月 ハハハハ! すみません(笑)。そういう軽い漫画しか描いてないしね。でも、自分としてはたいしたことない漫画家だと思いますけどね、ただ長く描いてるだけで。

――ボクは少女漫画家時代の『うっふんレポート』(79年)を小学生のとき読んで。姉が買ってたんですけど、衝撃を受けました。

弓月 あれはひどいというか、よくあんなの描かせてくれたなと思いますけどね。あれ『マーガレット』でしたっけ、ときどきSF系やらせてくれたから、たまにはいいだろうと思ってやっちゃったんですけど。もともとSFはガキの頃からずっと見てますから。

――原書で海外SFを読んでる人なんですよね。その趣味が活きてはいるけど、そんなに作品には全開にしないわけじゃないですか。

弓月 だって、そんなことしたらぜんぜんアンケート取れないんだもん! 『トラブル急行』みたいに打ち切りになるだろうし。

――そういうシンプルな理由なんですか。

弓月 そうです。

――SFみたいに自分がホントに描きたいことを全力で描くというよりは、適度に……。

弓月 適度に入れたほうがいいです。だから描く側としては、いまの『瞬きのソーニャ』みたいなのが一番いいですよね。あれは本当に好き勝手に描かせてもらってますから。

――あれはコメディ要素もお色気用も全然なくて、珍しいぐらいに趣味性が出ている気がしますけど、基本的には読者の反響重視で。

弓月 そうですね。自分としてもコメディが一番描きやすいと思ってますから。

――そんな弓月先生も、子供の頃は勉強はオール5だったり、ずっと学級委員やってたりで、ちゃんとした人っぽいじゃないですか。

弓月 フフフ、まあそこそこできる子ではありましたけど、ちゃんとした人でもないんですよ(笑)。学級委員長に選ばれたときに「嫌だ」って断って、そしたら担任の先生が嫌がらせみたいにクラスで一番頭の悪いヤツを学級委員長にしたんですよ。しばらくして「すみません!」って謝って学級委員長になりましたけど。そういう責任のあることとか人の前に立つことが昔から大嫌いなんで。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA 8月号にて!


ゆづき ひかる
1949年12月5日、高知県生まれ。1968年に第1回「りぼん新人まんが賞」に準入選して漫画家デビュー。以降、少女誌、少年誌、青年誌とフィールドを移しながら、コメディ色のある作品を発表し続けている。現在は『グランドジャンプ』で『甘い生活 2nd season』を連載中。2019年現在、画業50周年を記念して記念本『弓月光全仕事』の刊行、原画展の開催などを行う「弓月光 画業50周年プロジェクト!!」が展開されている。