【BUBKA10月号】R-指定(Creepy Nuts)イベントレポート 『Rの異常な愛情 VOL.5 ──或る男の日本語ラップについての妄想──』

HIPHOPユニット:CreepyNutsのMCとして活躍するR-指定。

ミュージシャンとして、「フリースタイルダンジョン」の2代目ラスボス、「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティとしてなど、八面六臂の活躍を見せる彼だが、日本語ラップの研究家としてもその見識は非常に高い。

その彼が日本語ラップを語り尽くすイヴェント「Rの異常な愛情──或る男の日本語ラップについての妄想──」の第5回目が開催!

列島の興味が北上するだろう

――今回はTHA BLUE HERB( 以下TBH)特集ということで、TBHにスポットを当てて、『Rの異常な愛情』を進めていければと思います。

 先日、BOSSさんにインタビューをさせてもらったんですけど、目を見れなかったですね、見つめられるとやっぱちょっと……緊張してしまって。

――乙女か(笑)。

R それぐらい尊敬する人なんですよね。梅田サイファーにもTBH好きが多いし、特にふぁんくさんとKZさんがむちゃくちゃTBH好きなんですよ。ただ、好きなところが全員微妙に違うんで、「今日、TBHのこと喋るんですよ」って言わずにやってます(笑)。このトークが聞かれたら「どこどこ喋ってないやん!」「その解釈は違う!」「あそこの分析が足りない!」みたいに、つかみ合いの喧嘩なりかねない(笑)。それぐらい、TBH好き、BOSSさん好きの人は、俺も含めて一家言持ってますね。

――ではいつもの流れで、TBHとRくんの出会いから話を進めましょう。

 まず1stの『STILLING, STILLDREAMING』から聴き始めたんですけど、正直、最初にTBH聴いた時は、どうラップが上手いのか分からなかったんですよね。その頃はZeebraさんやライムスター、ラッパ我リヤ、般若さんみたいに、小節のケツで韻を踏みながらラップを展開していく、譜割りのしっかりしたラップを主に聴いてたんで、BOSSさんみたいな語り口調に近い、畳み掛ける言葉の中に無数に韻が散りばめられているスタイルのラップが、最初は理解できなくて。

――構造的に非常に複雑だもんね。

 それが子供にはやっぱり分からんくて。逆に、歳を重ねて、自分もキャリアを重ねていくうちに、この時点でめちゃめちゃラップが上手いって事を思い知らされますね。例えば、一曲目の”THIS '98”は「地球上」「時空を」「イリュージョン」「持久走」って踏んでいくんですけど、普通はこれの部分を体言止めして、小節のケツに持っていくんですよね。だけど小節を韻で締めないで、文章の中に韻を四発も忍ばせる。だから、最初に聴いた時は「どこで韻踏ん出るんや……」って、ぱっとは分からなかったんですよ。

――脚韻に出来ることを敢えてしない構造で作っているよね。

 韻の置く場所がかなり計算されてるし、ラッパーとしての力量がこの時点でとんでもない。内容的にも〈平岸からドロップするクラシック 次に北で暮らしてる奴ら全てのものだ〉〈独特のムードが徐々に南下する すぐ後で列島の興味が北上するだろう〉って、東京が中心だったシーンに対して、それを仮想敵として宣戦布告しつつ、まさにその通りにしてしまったという。


――レポートの続きは絶賛発売中のBUBKA10月号にて!


R-指定
大阪府出身のラッパー。高2から梅田サイファーに通いバトルやライブ活動を開始。2012年からMCバトル全国大会UMBで3連覇を成し遂げ、『フリースタイルダンジョン』の初代モンスター・2代目ラスボスとして活躍。現在はDJ松永とCreepy Nutsとして活動中。

THA BLUE HERB
1997年に札幌で結成され、MCのILL-BOSSTINO、トラックメイカーのO.N.O、ライブDJのDJ DYEの3人からなる 。99年に1stアルバム『STILLING, STILL DREAMING』を発表して以来、多種多様な要素を取り入れたサウンドと熱く力強い“言葉”で熱狂的な支持を生む 。7月に7年ぶりとなる待望の5thアルバム『THA BLUE HERB』をリリース。


Rの異常な愛情─或る男の日本語ラップについての妄想─ 単行本化決定!

白夜書房9月19日発売 定価1620円


【取り上げるアーティスト】

SHINGO★西成

漢 a.k.a. GAMI

餓鬼レンジャー

般若

THA BLUE HERB

RHYMESTER

特別対談:Mummy-D