【BUBKA 1月号】青木るえか AKB48グループ版舞台『仁義なき戦い』 あまりに正しく美しい青春の輝き

福岡・博多座の開場20 周年記念公演として上演された『仁義なき戦い~彼女(おんな)たちの死闘篇~』。

1973年公開の東映映画名作『仁義なき戦い』が元になっているが、48グループが舞台化することを誰が想像していただろう? そして、その無謀とも思える挑戦の行き先は? 観劇による衝撃をまともに食らったライター・エッセイストの青木るえかと、『仁義なき戦い』フリークの杉作J太郎が作品について迫る。

舞台写真/©AKS

幕間に交わされた盃

 博多座のAKB48グループによる『仁義なき戦い』。この芝居は正しい。

 それについては後述するとして、博多座『仁義なき戦い』、チケットの売れ行きに苦戦しているのか(泪)、購入者にいろいろな特典がついてきた。博多座に「見にきているメンバー(=非出演者)」と一緒に見る権利とか、HKT48の研究生と一緒に行くバックヤードツアーとか。他に、最前列の権利が当たるってのもあったけど、聞いたところによると特典に当たった人には公演の前日には当選メールが送られてくるそうで。そのことを知った時はすでに公演を数時間後に控えていたので「ハズレ」だということがわかった。べ、別に特典目当てに福岡まで行くわけじゃないからいいんだもんね!

 バスと新幹線乗り継いで中洲川端(博多座に直結してる福岡の地下鉄駅)に着いた。そして、正面玄関の階段に並んで入場を待つ。関係者受付というところにたくさん人が並んでいるのだが、その人たちがいわゆる関係者的ではなく若い女の子やおばさんの団体で、大阪松竹座で藤山直美芝居の半額券の引き換えに並んでいる客層に近い。この人たちが楽しんでくれるといいなあと思いながら、入場列はじりじり進んでモギリと荷物検査と金属探知機を通り過ぎる。両側に2人ずつ、HKTの研究生が黒い『仁義なき戦い』Tシャツを着て、ポストカードを配っている。裏に出演者の直筆サインが入っているそうだ。私は上島楓ちゃんからポストカードもらった。裏返すと確かに直筆サインが。そして私はそのサインが誰のかわからないのであった。イニシャルはY。該当者多すぎ。

 そしてサインの他に1枚のシールがぺろっと貼ってあった。

 このシールを第一部が始まる前までに、売店の一角にある景品交換所でリストバンドと交換しろと言われる。で、交換してもらった。赤、緑、黄色と三種あって、私のは黄色。つまり特典に当たったのだ。えーっ。こういうの当たったためしがなかったのでちょっとうれしい。しかし、そこに至っても私はこの特典がどういう内容なのか知らなかった。『観劇企画(BREAKTIME付き)』って言われたってなんのことかさっぱりわからん。そして今に至るまで、赤と緑のリストバンドの人がどういうイイ思いをしたのかも知らない。とにかく黄色いリストバンドの特典体験についてお話しします。

 この博多座公演は二幕で、幕間二十分の休憩がある。その休憩時間に黄色リストバンド客は整列させられ客席レストラン『花幸』に連れていかれる。その整列仕事をやってるのは、西鉄ホールやガスホールやスカラエスパシオなどHKT劇場公演でお馴染み「仕切りと前説の男・I田さん」。

「これは、メンバーとお茶会か!」

 宝塚のお茶会ならお茶とケーキが出るぞ! お茶会のケーキって工夫のないつまらんショートケーキとかが多いんだよな~、でもタダで当たったんだから文句は言うまい。よろこんでいただきまーす♪……と、ワクワクしながらレストラン(の片隅)につれて行かれたら、アメとかのお菓子が紙皿に盛られてた。テーブルにぽつんと……。


――記事の続きは絶賛発売中のBUBKA1月号にて!


青木るえか
東京生まれ。主婦、エッセイスト、ライター。『本の雑誌』(本の雑誌社)で、間抜けな主婦としての自分を書くエッセイで人気を博す。著書に『定年がやってくる:妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)、『ネコの品格』(文春新書)など。