【BUBKA 1月号】SHINGO★西成 『Rの異常な愛情──或る男の日本語ラップについての妄想──』

先日、ニューアルバム『白目』をリリースしたばかりのSHINGO★西成。

大阪弁を巧みにフロウさせ、「話芸」と言っても過言ではない独自のスタイルをラップに昇華させている。ここではR-指定との出会いから、自身のアイデンティティについて大いに語ってもらった。

西成に住む理由

――書籍『Rの異常な愛情 ――或る男の日本語ラップについての妄想――』の中でも語られているのですが、SHINGO★西成さんの”大阪UP”のMVには、R‐指定くんが見切れているという(笑)。

SHINGO ちゃうちゃう。見切れてるんじゃなくて、Rを指名して映像を撮りに行ってるから、R‐指名ちゅうこっちゃ(笑)。

――”大阪UP”が収録されたSHINGOさんのアルバム『ブレない』がリリースされた2012年は、RくんはULTIMATE MC BATTLEの大阪大会では連勝していましたが、全国大会で優勝するのはその年末であり、コッペパンとして活動しているタイミングでしたね。その意味でも「全国的に名のあるラッパー」とはまだ言えなかった時期だと思うんですが、その彼をピックした理由は?

SHINGO   コッペパンやったKOPERUもRも、やっぱりイケてる二人やったから、かな。スタイルもそれぞれ違って聴き応えがあったし、MCも面白かったから、俺が手掛けてるイヴェントにもコッペパンを誘ったこともあって。それで”大阪UP”っていう曲を作る時に、率直に好きやった若手で、映像もサクッと撮りに行ける範囲におったんが、Rやったっていう。

――Rくんとのファースト・コンタクトはクラブやライブハウスですか?

SHINGO   そう。イケてる若いやつがおるっていう話を人づてに訊いて、それでライブを見に行って、たしかに、と。特にRの世代のラッパーは、とにかく個性の強い奴か、個性はそんなに強くないけど、だからこそ個性を発見するためにラップをやってる奴の二種類がいる気がするんやけど、その2つの流れがRの中にはあって、その両方が自分の中で刺激しあってる感じがあったし、その意味でも伸びしろがハンパないっていう印象やった。

――その後に、Rくんがソロ作『セカンドオピニオン』をリリースしますが、その中でSHINGOさんを迎えた”灯取虫 ~ヒトリムシ~”を制作しますね。

SHINGO   脅して参加したわけやないんやけどね(笑)。

――そりゃそうですよ(笑)。

SHINGO   他にもRにとって刺激になるラッパーもおったと思うんやけども、Rがその時に表現したかったことと、俺のラップがフィットしたんちゃうかな。面白かったのは、ラップメインのタイプと、ポエトリーっぽいタイプの二種類を作ったら、Rはポエトリーっぽい方を選んでくれて、そっちが欲しかったんや、って。『セカンドオピニオン』自体、いまと違ってもっと不器用なR‐指定が出てるから、いま聴いてもより新鮮に感じるアルバムやで。

――その制作の時に、SHINGOさんが西成の街をRくんに紹介したそうですね。

SHINGO   内容の相談しに西成まで来てくれて。案内したことに理由っていう理由はないし、「西成に来てくれたから」っていうことへの俺なりの歓迎の仕方かな、それは。確かに街のニュアンスを伝えるっていう部分だったり、お互いの住んでる環境とか、息遣いみたいなものを擦り合わせたいっていう気持ちもちょっとはあった。でも、仲間が街に来て、時間もある、じゃあちょっとブラブラして、腹減ったらホルモンでも行こうや、っていう方が大きかったかな。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA1月号にて!