【BUBKA 3月号】証言 12.30『AYAKARNIVAL 2019』 「あの日彼女たちが手にした真実」 証言⑤ 担当記者&編集 緊急座談会

佐々木彩夏、=LOVE、EMPiRE、カミングフレーバー。

4組のアイドルがパシフィコ横浜国立大ホールで行ったこの特別なライブイベントは、それぞれが存分に魅力を発揮し、2020年代を生きるアイドルの可能性と未来を、たしかに感じさせるものだった。

出演者、スタッフ、記者それぞれの立場から「始まりの一夜」の真実を解き明かす。

開催の背景

ゾンビーノ(以下、ゾ) さっそくですが『AYAKARNIVAL』についての座談会を始めたいと思います。このイベントが開かれると聞いてどう思いましたか?

犬飼(以下、犬) 初めはどんなイベントなのか、よくわからなかったというのが正直なところだよね。目的があんまり見えなかった。というのも、2010年の『アイドルユニットサマーフェスティバル』を引きずっているからなんですよ。

ゾ 犬飼さんはこの10年引きずって生きてきたという(笑)。

犬 あれは戦いだったけど、『AYAKARNIVAL』は戦いではないわけでしょ? あーりん(佐々木彩夏)に戦いの意図はないわけで。だから、どう捉えればいいのかなっていう。さらにいえば、まだ形として提示されていないから、「観ないとわからないもの」だと思っていました。2010年代の総括的なイベントであり、2020年代が拓けるようなイベントだという意図も理解はできたけど、それも観ないとわからないので、曖昧模糊としていましたね。

小島(以下、小)  あーりんも言っていましたよ、「いざ始まったら、ファンの人は戦いって観ちゃうのかな? 」って。

 僕も、戦いという打ち出し方はしないほうがいいなと思っていました。ファンからしたらそういう図式って気持ちいいものじゃないと思うし。

犬 そういう時代でもないしね。あと、イベントが発表されてから、この10年ってどんな時代だったんだろうって考えたんですよ。2010年ってアイドルシーン的にビッグバンが起きた年で。AKB48に『ヘビーローテーション』、ももクロに『行くぜっ! 怪盗少女』がきた年で、アイドル戦国時代の火ぶたが切って落とされた年ですよね。ただ、同時に分断の時代が始まったとも言えるなと思っていて。

 自分が推しているグループだけを見ていれば、それで成立しちゃう時代へと徐々に変化していった。

犬 そうです。それによってそれぞれのパイが小さくなって、解散するグループが後を絶たなくなった。解散の理由はそれだけじゃないでしょうけど、2010年代後半は分断の時代になって、それぞれのグループについているファンの間の行き来が減ってしまった。各陣営はユニークユーザーをなかなか増やせないんですよね。そんな中で開かれる『AYAKARNIVAL』はそんな時代に楔を打とうとしているのかなと思いました。

 できることはできるうちにやらないと取り返しがつかなくなりますから。ももクロ、特にあーりんは、どこかが独り勝ちしてもしょうがない、アイドル業界全体を盛り上げないといけないという考えが強いんですよ。あーりんは高校の同級生にアイドルがいっぱいいて、彼女たちといつか一緒にやれたらいいね、という考えをかつて持っていたみたいなんです。でも、その子たちが所属しているグループがみんな解散してしまったりで、構想が白紙になってしまった。「いつかできればいい」ではタイミングを逸しますよ。

 今回は急遽決まりましたからね。紆余曲折を経てこの4組になりましたけど、結果的にこれでよかったと思いました。WACKからEMPⅰREが出演してくれたのは、10年代後半にBiSHがブレイクしたことの流れを受けているし。

 WACKとももクロって関わりがなかったから、ある人が川上さんに渡辺淳之介さんの電話番号を教えたんですよ。一度は出なかったけど、折り返しがかかってきて。僕もその場にいたんですけど、結構話していたんです。知り合いかなと思ったら、「初めて話しました」と(笑)。歴史が動いた感はありましたね。

 でも、スターダスト枠があーりんだったのはどうしてなんですか? 「結成5年以内のグループ」縛りだから、スタダの若手が出てくるのかなと思ってたんですけど。

 スタダ主催のイベント色を強くしたくなかったからですね。

 あーりんはあくまで場を提供するだけで、あーりんがスタダの誰かを推薦することもしたくなかったとのことです。

 懸念してたのが、『TIF』の劣化版と思われるんじゃないかっていうことで。

 そこなんですよ! だから、今回は従来のフェスにしたくなかった、と。イベント名に「フェス」の文字を入れないことも徹底していたし、川上さんはスタダを最後まで入れようとしなかった。みんなが「桜エビ~ず(現・ukka)出せばいいじゃないですか」と言っていたのに、「それは違う」と。だから、あーりんも初めは「主宰だから1曲だけ」の予定だったんです。


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