【BUBKA4月号】『Rの異常な愛情── 或る男の日本語ラップに ついての妄想── 』 大阪帰省編 「『最強の輪』 梅田サイファー(完結編)」

CreepyNutsのMCとして活躍するR-指定が日本語ラップを語り尽くすイベント『Rの異常な愛情 ──或る男の日本語ラップについての妄想──』。前号に引き続き、昨年12月に地元大阪・ロフトプラスワンウエストで開催された第7夜の模様(完結編)をお届けします! R-指定が参加する「梅田サイファー」から6人のゲストが登場し、それぞれの「日本語ラップ」クラシックを解説!

写真/岡本武志

何でも好きさ

無礼講がルール

――今回は梅田サイファーの皆さんにひとり一曲ずつ、日本語ラップの作品を選んで貰い、それを会場の皆さんに紹介と解説をして、「異常な愛情」を語って貰おうと。要はプレゼン大会ですね。では早速KennyDoesくんからお願いします。

KennyDoes 僕が選んだのはRIP SLYMEの”Rockit!”です。これは僕の原点にして一番衝撃を受けた曲で。リリースされたのが僕が小6か中1ぐらいの時だったんですけど、「ミュージックステーション」でスタジオ・ライヴをやってたんですよね。それまで僕は日本語ラップって全然聴いてこなかったんですけど、洋楽イズムというか、洋楽っぽさをすごい感じて。

――それまではUSのラップを聴いてた?

KennyDoes USラップっていうか、エミネムとリンキン・パークとリンプ・ビズキットを聴いてました。あと、メタリカとディープ・パープル。

R‐指定(以下R)  ホンマはORANGERANGEやろ?(笑)

――なかなか複雑な音楽体系だけど(笑)、そこで感じた「洋楽っぽさ」はどういった部分?

KennyDoes   一番は裏拍なんかなって。例えば〈そんじゃあこじ開けろZon the mic 御存知目笑ってねぇぜ 本当ファンキーオレらいたって本気〉っていうパートの裏拍へのアプローチと、RYO‐ZとPESのシームレスなラップの展開がグルーヴに繋がるって部分が、聴いててすごく気持ちよかったんですよね。歌詞の内容的にも、「何でもいいぜ、とりあえずアガろうぜ」みたいな部分が、洋楽かぶれというか、あんまりJ‐POPに馴染めなかった自分にも響いたというか。

R RIP SLYMEはPESさんがメロディーでフロウを作っていくのに対して、RYO‐Zさんが言葉の持ってるアクセントとか響きのところでフロウを作っていくのが対比になっててホンマに気持ちいい。か行を続ける〈心コントロール可能じゃあEasy〉とか、文章から書いてたら出てけえへんようなラップで。

KennyDoes   そこは今の自分の歌詞の書き方にも影響を与えてるし、ホンマにRYO‐Zさんがいなかったら自分いないくらいに思ってますね。

R いちどRYO‐ZさんとLITTLEさんがラップ論でめちゃ激論したらしくて。RYO‐Zさんはラップをパーカッションみたいに作りたい、メッセージは一言だけバンとあればよくて、他は口気持ちよく、打楽器的に気持ちよくするために書きたい、と。一方でLITTLEさんは頭からケツまで全部メッセージやリリックで埋めたい、って激論したらしくて。そのどっちの気持ちも分かるなと。

KennyDoes   SUさんの〈ディストーション効かし歪んだナンバー だけどまっすぐさ 心も身も〉も、楽曲に対するメタ構造でもあり、言い回しの妙を感じますね。この曲の入ってる『MASTERPIECE』、リップの4枚目のアルバムはぜひ勧めたいアルバムです。


――インタビュ―の続きは絶賛発売中のBUBKA4月号にて!


R-指定
大阪府出身のラッパー。高1から梅田サイファーに通いバトルやライブ活動を開始。2012年からMCバトル全国大会UMB で3連覇を成し遂げ、「フリースタイルダンジョン」の2代目ラスボスとして活躍。現在はDJ松永とCreepy Nuts として活動中。

梅田サイファー

2007年から大阪の梅田歩道橋でサイファーを開始、R-指定をはじめとした強力なバトルMCを輩出した“日本一ラップが好きな集団”。昨年は3rdアルバム『NEVER GET OLD』、EP『トラボルタカスタム』を発表し、主要都市を周るリリースツアーを行った。