【BUBKA6月号】『Rの異常な愛情──或る男の日本語ラップに ついての妄想── 』 若き日のZeebra(中編)

CreepyNutsのMCとして活躍するR-指定が日本語ラップを語り尽くすイベント『Rの異常な愛情 ─或る男の日本語ラップについての妄想─』。2月に行われた第8回目では、Zeebraの初期作を解説しました! 先月号の続き(1stアルバム解説)から、“不良性”を押し出した2ndアルバム『BASED ON A TRUE STORY』の魅力を紐解くイベント中盤の模様をお届けします!

写真/岡本武志

女にも欲しい

夜があるって

R 前編では座敷牢に入れられたCreepyNutsですが(笑)、中編では引き続き1stアルバムを取り上げて、ジブさんのヒップホップ革命家、ヒップホップ思想犯としての側面が表現された〝The Untouchable  II〞からお話していければと。この曲の前段として、DJプレミアとタッグを組んだ〝The Untouchable〞っていう曲があるんですが、その曲ではヒップホップ革命家としての自分自身を書いてるんですね。そして〝The Untouchable II〞では、その革命家、思想犯のZeebraを追い詰める、バビロンシステム、権力側の視点からリリックを描いてる。「さんピンCAMP」とか「鬼だまり」を折り込みつつ、そういった「現場」から日本を変えようとするZeebraと、それを阻止しようとする国家側、というアプローチ。つまりジブさんがZeebraという容疑者を追いかけてるっていう構造での作品になっていて。しかも、その権力に対して、容疑者のジブさんは〈例の城に仕掛けたぜ爆弾〉と言って一歩も引かないし、この頃からジブさんは爆弾が好きやった(笑)。

――「Mr.Dynamite Zeebra the Bomber」という前から(笑)。

R ジブさんは何かっていうと爆弾ですから(笑)。でも、その大袈裟さが面白いんですよね。あと爆弾と言えば、DJ YUTAKAさんがインタビューで……。

――「今のメディアは腐ってる。だから俺はフジテレビの球体展望台の両端に爆弾つけて落とそうと思ってる。一端は俺が持って、もう一端はGDXが持つ」ってやつだ。それ俺とダースレイダーが作ってた「月刊RAP」のインタビューじゃなかったかなあれは最高でしたよ。本物のヒップホップ思想犯いたんやっていう(笑)。ま、それは余談ですけど、その次の〝東京の中央〞では、革命家、思想犯としてジブさんが、その計画をどんどん実行している最中の内容が歌われるんですよね。だから、視点がこの2曲では入れ替わってるんだけど、その流れの作り方はホントに教科書的に上手い。その次の〝真っ昼間〞は、多忙に戦っているジブさんの休日というか、日常、チルな時間を書いてて。ホンマに東京のイケてる若者としての日常なんですよね。

――MVが90年代末をすごく感じるんだよね。

R ジブさんの日常だから、アメリカっぽい生活様式かなと思ったら、歌詞に出てくるのがタンスなんですよね。〈開くタンス出すTシャツに短パン〉。ここが「ウォーキングクローゼット出すTシャツに短パン」やったら……。

――自分たちと遠く離れすぎちゃうよね。

R でもタンスやから、「あ、近いんや」って思わされるんですよね。あと〈ゲットしたばっかのミックステープ カーステで鳴らすぜクソ渋いベース〉。こんなに日常を切り取ってても、スキルの部分は全く妥協なし。女の子の話も出てくるんですけど、チャラいんじゃなくて粋なんですよね。だから下品ではない感じがあって。アルバム的には、ここからはジブさんの夜の部が始まるんですが、〝Parteechecka〞はとにかく華やか。


――若き日のZeebra(中編)の続きは絶賛発売中のBUBKA6月号にて!


R-指定
大阪府出身のラッパー。高1から梅田サイファーに通いバトルやライブ活動を開始。2012年からMCバトル全国大会UMBで3連覇を成し遂げ、「フリースタイルダンジョン」の2代目ラスボスとして活躍。現在はDJ松永とCreepy Nuts として活動中。